研究課題/領域番号 |
18K00705
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅谷 奈津恵 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (90434456)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アカデミック・ライティング / ノートテイキング / 読解力 / 引用表現 / 言い換え / 表現の盗用 |
研究実績の概要 |
読解資料を正確に理解し適切に引用を行うことは、日本語学習者にとっても日本語を母語とする学生(以下、JNS学生)にとっても非常に困難である。両者の引用の習得過程を検討し、指導方法論を確立するという本研究の目的に従い、2018年度は以下のように、理論的研究とデータ収集・分析を行った。 1. ライティング課題や引用の習得に関する先行研究を収集し、調査方法及び分析の枠組みについて検討を行った。その知見を踏まえて複数の読み書き統合課題を作成し、日本語学習者、JNS学生を対象に予備調査を実施した。予備調査では協力者への質問紙調査や面接調査も行い、読解文の難度や指示文の適切さ等を検討した。 2. 2017年度までに収集済みの日本語学習者、JNS学生の作成したレポートを対象に、参考文献の選択や参考文献からの表現の借用度、引用表現の使用特徴について分析を行った。引用表現の分析においては、1での検討をもとに統合的/非統合的引用(integral/non-integral citations)の分類により検討を行った。同授業については、2018年度も継続して提出レポートの収集を行った。 3. 日本語学習者を対象にした授業において、読解資料のノートテーキングとそのノートに基づく説明文を作成する授業実践を行った。各授業で学習者が作成したノートと産出文章、読解文章とをあわせて分析し、読み書き指導と学生の産出文章の変化について考察を行った。その成果を踏まえて、授業実施方法の改善を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従い、2018年度には先行研究のレビューと収集済みのレポートの分析を進めるとともに、授業実践研究に取り組んだ。また、その成果として、学会発表2件、論文発表3件を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた成果を発展させ、以下のように研究を進める。 1.日本語母語話者、日本語学習者を対象とした授業実践を継続する。調査協力への同意が得られた受講生の産出文章及び質問紙への回答を分析し、読解・言い換え指導と、引用の宣言的知識・手続き的知識の習得との関係を検討する。 2. 授業データの分析結果、及び、予備調査の結果に基づき、実験的手法により読み書き統合課題とフォローアップインタビューを行う。収集したデータをもとに、原文からの表現の借用と引用表現の使用状況、学習者の引用知識との関係を明らかにする。 3.上記で得られた研究成果は、日本語教育関連の学会で発表を行い、他の研究者からのフィードバックを得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
謝金の支払額で端数が出たために、わずかではあるが残額が生じた。2019年度の謝金予算と合わせて、使用する予定である。
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