研究課題/領域番号 |
18K00707
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
園田 博文 山形大学, 地域教育文化学部, 教授 (10325590)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日本語教育史 / 日本語史 / 台湾 / 国語講習所 / 新国語教本 / 女性語 / 発音 / オンライン研究 |
研究実績の概要 |
本研究のテーマは、「明治以降昭和20年までの台湾語会話書および台湾における日本語教科書の研究」である。 2年目となる今年度は、1年目に引き続き、資料収集、資料分析に必要な環境を整えた。その上で、台湾に赴き、「国家図書館」「国立台湾図書館(旧国立中央図書館台湾分館)」、および、「中央研究院人文社会科学聯合図書館」で調査を行った。必要な資料は、許可を得て複写して持ち帰り、時間をかけて分析し、その成果を4つの学術誌等(全て査読あり)に発表した。 具体的には、以下に挙げるものとなる。執筆の順序と刊行の順番は一致していないため、ここでは、執筆順に掲げる。まず、園田博文(2020a)「台湾の日本語教育月刊誌『国光』(昭和7年創刊)における投稿文の資料性―誤用と誤文訂正を中心に―」『論究日本近代語1』(勉誠出版)を執筆した。これは数次にわたって収集した『国光』(昭和7年創刊)をもとに投稿文を分析したものである。全国的な査読論文である。次に、園田博文(2020b)「昭和初期台湾刊『新国語教本教授書』における仮名導入前の日本語指導について」『山形大学紀要(人文科学)』19-3(査読あり)を書いた。『新国語教本』および『新国語教本教授書』は前から知られていた資料であるが、改めて論じた。これを受けて、園田博文(2020c)「戦前の規範としての女性語―昭和15年台湾刊『潮州郡国語講習所用 話方読方教授細目』「男子教材」「女子教材」を資料として―」『山形大学紀要(教育科学)』17-3(査読あり)をしたためた。『新国語教本教授書』等をもとにさらに細かく指導案を記したもので貴重である。続いて、園田博文(2020d)「台湾における国語の発音指導―昭和14~15年刊『国語講習所用 新国語教本日案式 指導細案』等2種における誤用例を中心に―」『国語学研究』59(査読あり)を書いて、発音指導に言及した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由 「研究実績の概要」に記したとおり、研究環境を整え、実際に台湾の図書館に赴いて調査し、資料の複写を入手することができた。さらに、ひとりで行う研究であるが、当該資料を分析して、1年間で4本の査読付き論文を発表した。これにより、新知見を斯界に提示できたため。
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今後の研究の推進方策 |
「現在までの進捗状況」に記したとおり、研究が当初の計画以上に進んでいる。次回台湾出張の際に調べる資料の当たりまで付けていて、今にも行きたいところである。最終年度である2020年度は、台湾への数次の出張を予定している。安全に渡航できるようになれば、資料の確認と資料の発見を行う。ただし、本研究申請当初予期していなかった新型コロナウイルスの世界的蔓延により、2020年度に台湾へ出張できるかどうか、報告書を作成している今現在では見通せない。 そこで、安全に渡航できるかどうか分からない場合には、無理せず、最終年度である2020年度は渡航せず、2年目までに収集した資料の分析に努める。将来安全に渡航できるようになった時点で、分析結果を応用し、効率的な確認や収集を行う。 台湾にいる研究協力者等とのオンライン会議やオンライン研究も模索しなければならない。2年目まではひとりで行う研究であったが、オンライン研究に熟達した研究分担者を1名追加することも考えている。 1年前にも記したとおり、成果公開は是非とも促進したい。これは、順調に渡航できた場合も、やむを得ず渡航できなかった場合も同様に行える。具体的には、書籍による出版(印税無し)を考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品は研究に最低限必要な物のみを購入した。調査の日程等を圧縮して行ったため、当初の計画よりも旅費が少なくなっている。また、人件費・謝金の部分も自身で行ったため発生していない。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画については、以下の通りである。 まず、調査に必要な旅費はなるべく使うように考えている。ただし、新型コロナウイルスの世界的蔓延の関係で思うように出張できない場合は、「その他」として、図書の出版(印税無し)等を通して、研究成果の公開に力を入れたい。
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