研究課題/領域番号 |
18K00708
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
本田 ゆかり 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 研究員 (00817413)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 語彙リスト / コーパス / 日本語教科書 / 語彙調査 / Webツール |
研究実績の概要 |
1. 初級日本語教科書共通語彙リストの公開 2018年度に行った初級日本語教科書共通語彙調査で作成した初級日本語共通語彙リストの見落とし等、語彙項目の再チェックを行い、東京外国語大学留学生日本語教育センター教育研究開発プロジェクト「初級教材の発展を目指した基本語彙リスト策定と多言語版開発」 の助成を受けてWeb公開を行った(以下のURLよりダウンロードが可能:http://www.tufs.ac.jp/common/jlc/kyoten/development/shokyu_list_kiyaku.html )。これにより、現在、初級教科書共通語彙リストは誰にでも利用可能な状態となっている。
2.初級日本語教科書共通語彙リスト・語彙重要度チェックツールの開発 1.で作成した初級日本語教科書語彙リストを実装した語彙重要度チェックツールを開発している。これは、調べたい語彙やテキストをツール内の所定の位置に入力すると、本調査で行った初級日本語教科書5種類のうち何種類に出現している語彙かを5段階で示す(例、5種:、4種:4…)ものである。ツールは、日本語の指導者が特に初級レベルの学習者を対象とした読解テキストの選定や、教材やテストなどの例文に使用する語彙を選ぶ際に使うことを想定して設計している。 この語彙チェックツールはMeCabとUnidicで語彙を解析したうえで値を返す仕組みになっているため語は短単位で出力され、日本語教科書の索引や日本語教育で扱う語の単位とは異なる部分がある。そのため、元となる初級日本語教科書共通語彙リストの方を、この方法で可能な限り漏れなく解析できるように修正を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年3月まではアゼルバイジャンを生活拠点としていたが、コロナ禍により日本に一時帰国して生活基盤の立て直しを行ったことや、子供の学校が閉鎖中である時期が長かったことなどが原因で仕事時間が取れず、計画的に研究を進めることが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
1.「読解基本語彙6000語」について:6000語リストは、1.で開発した初級日本語教科書語彙リストの語彙を含めて語彙のランク調整を行う。特に初級段階の日本語学習者にとっては日本語教科書が日本語の主要なインプット源である。このような背景からも、教科書コーパスの語彙を追加したランキングの再構築が必要である。また、6000語リストの元データとなる1万語リスト(本田2015)は短単位であるため、これと初級日本語教科書語彙リストの単位を揃えるために2019年に行った初級教科書語彙項目の単位編集作業は必要なプロセスである。さらに、1万語リストでは削除対象であった複合語、接辞、機能語を6000語リストに追加して再構築するためリストを整備中である。 2.テキストカバー率調査:6000語リストが完成したら、その評価としてテキストカバー率調査を行う。1万語リストの評価の際に行ったテキストカバー率調査と同じ方法で行い、1万語リストにおける6000語レベルまでの語彙のテキストカバー率と、新しく開発する6000語リストのテキストカバー率の比較を行いたい。 3.基本語彙の語数推定範囲に関わる調査:本研究では日本語テキストの読解に必要な基本語彙を6000と推定している。これは本田(2015)による1万語の語彙リストを開発した際のコーパスに基づく統計分析と、先行研究に基づく。本研究でもこれを明らかにする分析を追加で行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画通りほぼ全額使用したが、わずかに残額が生じた。まだ使用できるなら、文房具等の備品購入に充てたい。
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備考 |
東京外国語大学留学生日本語教育センター教育研究開発プロジェクト「初級教材の発展を目指した基本語彙リスト策定と多言語版開発」 の助成を受けた。
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