1. 日中同型語タグの付与:日本語教育基本語彙6000語リストに対する日中同型語タグの付与が完了した。日中同型語かどうかという点は、漢字圏学習者にとっての日本語語彙の難易度を判断するうえで重要である。 日中同型語には、同型異議と同型同義、また、その間に意味が部分的に一致する同型類義のタイプがある。同型異議と同型類義ではどちらが難しいのという問題には議論の余地があり、さらなる調査・研究が必要であるため、本研究の語彙リストでは完全一致の日中同型同義語項目に限り、漢字圏学習者にとって学習しやすい語彙であることを示すにとどめた。 2. 必要情報の追加:本研究で開発する6000語の日本語教育基本語彙リストは、本田(2017)による1万語の日本語教育語彙リストに基づいている。本田(2017)の語彙リストは、設計上の理由から対概念の項目(曜日、数詞等)や接続詞等をあらかじめ削除していたが、本研究ではこれらの項目も日本語教育基本語彙として重要であると考え、語彙リストに追加した。 3. 語彙リストのランク調整:日中同型語情報、および初級日本語教科書の出現情報に基づき、語彙リストの学習重要度ランクを調整した。 4. 日本語学習支援ツール「読解基本語彙チェッカー」の開発:日本語学習支援ツール「読解基本語彙チェッカー」を開発した。現在、このツールの公開に向けて、読解基本語彙リストの最終調整を行っている。 5. 初級日本語教科書出現語彙チェッカーの公開:初級日本語教科書語彙リストをもとに、日本語学習支援ツール「初級日本語教科書出現語彙チェッカー」を公開した。この研究開発に関しては、2022年カナダ日本語教育振興会(CAJLE) 年次大会で発表した。
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