研究課題/領域番号 |
18K00711
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
佐藤 礼子 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (30432298)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 日本語読解 / メタ認知 / 自己モニタリング / 他者への説明 / 自己省察 |
研究実績の概要 |
本研究課題は,上級レベルの日本語学習者の読解において重要な自己モニタリングの働きを促すための学習法として,「他者への説明」が核となる読解活動を提案し,その方法を検討するものである。 昨年度までの研究により,上級日本語学習者であっても,書き手の意図や暗示的に示された内容に注意を向けるようになるには,質の高い問いができることが必要であり,気づきを促すために他者による問いかけや働きかけが重要であることを確認した。また,読解した資料から考えた内容を言語化し,精緻化する活動について考察したところ,文章を読んだ後に視覚化と概念化を促す活動を個人内と他者間の2段階で実施することが,明示的な自己省察を促すことが示された。 本年度は,説明活動の継続と読解スキルの変容との関わりを実証する方法を検討することを予定していた。しかしながら新型コロナウイルス感染症対策のため,2020年度の講義がすべてオンライン化され,調査実施場所である大学構内への日本語学習者の出入りが制限されてしまったため,予定していた調査の実施が困難となった。オンラインでの実施を試みたが,想定していた読解活動の水準に達することができなかった。予定していた「他者への説明」を含む活動を非対面で行った場合に,他者との関係性が十分に構築されなかったこと,非言語面の情報を補うことができなかった等が要因と推測された。方法論そのものを再検討する必要が生じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
説明活動の継続と読解スキルの変容について検討することを予定していたが,新型コロナウイルス感染症対策のため,2020年度の授業がすべてオンライン化されたこと,調査実施場所である大学構内への学生の出入りが制限されてしまったことから,予定していた調査が実施できなかった。オンラインでの実施を試みたが,十分な実施環境を整えることは困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し,昨年度できなかった計画(他者との説明活動の継続による読解スキルの変容の調査)を遂行する。説明活動を継続的に経験することで,文章の読み方に違いが出てくるか,目的によって異なる読み方ができるようになるかを検討したい。特に,読解目的を適切に理解することの重要性に着目したい。 調査参加者を集めて調査をすることが困難な場合に備えて調査の実施手法を変更するなど,複数のプランを検討しておく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:参加予定の研究会が中止やオンライン開催となったうえ,出張が認められなかったため旅費の執行がなかった。また,調査参加者を集めた調査をすることもできなかった。
今後の使用計画:昨年度に引き続き,参加予定の研究会が中止やオンライン開催となる見込みであるため,旅費は不要となる可能性がある。調査の実施可能性は不透明であるが,実施可能な調査計画を立て直し、計画にそって予算執行を行う。
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