研究課題/領域番号 |
18K00712
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
志村 恵 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (50206223)
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研究分担者 |
深澤 のぞみ 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60313590)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日本社会適応 / 外国人市民 / 日本語教室 |
研究実績の概要 |
本研究は日本社会の本格的なグローバル化を見据え、永住・定着する就労者としての外国人市民の統合や、社会参加への意識の涵養をより効果的に進める「日本社会適応・定着プログラム」を開発し、実際に試行・評価する独創的研究である。そのために、① 外国人市民のための定着促進プログラムに関する調査を行い、② 外国人市民に対する定着促進を効果的に進めるためのプログラムの開発および試行・評価を行うものである。 初年度の2018年度では、ドイツにおけるオリエンテーション・コースの実施例を視察し、コース運営者と授業担当者に対しインタビューを行うとともに、A市近郊の国際交流団体が主催する4か所の日本語教室の参加者に対し、ニーズ調査を行った。 実施2年目にあたる2019年度では、そのニーズ調査の取りまとめ・分析を行い、日本言語政策学会において研究発表を行うとともに同学会の『言語政策』第16号に掲載した。また、ドイツのオリエンテーション・コースの実践例とそこで使用されている教科書の特徴についての研究を日本独文学会北陸支部において、研究発表した。 前述のニーズ調査によって明らかにされた日常生活においてどのような情報が必要とされているかに基づき、定着促進プログラムの教育制度についての単元を制作した。そして、B市の日本語教室の日本語学習者に対し、授業の試行を行い、その後半構成的なインタビュー調査を行い、試行した単元の効果等についてその結果をまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、A市近郊における日本語教室におけるアンケート調査についてとりまとめ、発表した。また、日本事情に関する教育プログラムの作成について、専門書により文献的研究を行いつつ、アンケート調査の分析結果と日本社会の特徴と在日外国人労働者の現状を勘案しつつ、ドイツの「統合コース」のドイツ事情のプログラムに依拠しながら、「日本社会適応・定着プログラム」の試行版を開発・試行する予定であった。B市にある日本語教室の日本語学習者に対して、日本の教育制度に関する単元の授業試行を行い、その後半構成的なインタビュー調査を行い、その結果をとりまとめた。試行版の単元を教育制度のものしか作成できなかったことは残念であったが、一部でも試行し、インタビュー調査できたことで上述の評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の最終年である2020年度では、試行プログラムの評価・修正と本研究の総括及び成果の公表の年度と位置付け、参加者および教室運営者に対してヒヤリング及び質問紙によるアンケート調査を行い、プログラムの効果について測定する予定である。試行版の単元を5つほどに増やし、まとまった形で実施した後、参加者に半構成的なインタビュー調査を行って、同試行版の修正を行う。 新型コロナウイルスの状況にもよるが、出来上がった修正版をドイツ・デュッセルドルフ大学の島田教授等に評価してもらい、さらにブラッシュアップする。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大のため、出張計画が予定通り実行できなかったため。 差額分は、2020年度において、主に資料収集の国内旅費によって執行する予定である。
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