• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2020 年度 実施状況報告書

第二言語としての日本語の物語文における発達の普遍的・個別的特徴に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00713
研究機関愛知教育大学

研究代表者

稲葉 みどり  愛知教育大学, 教育学部, 特別教授 (50273298)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード物語文 / 第一言語発達 / 物語構造 / 共起ネットワーク / Frog Story
研究実績の概要

4歳児と5歳児の物語文を分析からは、絵描写的な表現から客観的叙述表現への移り変わりが見られた。また、物語の流れから、推測や想像をして話を作り、話を展開していく能力の芽生が見られた。出来事の関連づけの方法は、時間的な生起順序に並べていく方法(時間的継起)が主で、因果関係などの論理的連結は見られなかった。因果関係を捉える力は備えているが、それを表現する的確な接続表現等の言語形式がまだ十分に発達していない状態であることが示唆された。
発達過渡期にあたる6歳児と7歳児の物語文を物語文法(Thorndyke, 1977)の要素を基軸とした物語構造「設定」「展開(起・承・転)」「結末(結)」)の観点から分析した。その結果、6歳児には、物語の設定、展開の起、承の部分を語る能力が発達してきていることが分かった。また、7歳児には、物語の展開の転から結の部分までを関連づけて語る能力が芽生えてきていることが分かった。
8歳児と9歳児では、登場人物等を表す言葉に固有名が登場し、固有名を用いることで、登場人物に人格・性格・気質のようなものを吹き込み、いわゆるキャラクター化することで存在感の感じられるものにし、物語をより身近で、独自のものにしようとする概念の発達が示唆された。頻出語の共起ネットワークの分析から、複数の場面を関連づけていることが分かった。よって、物語の局所構造だけでなく、全体構造を構成する能力の発達が示唆された。
今後は、10歳児以降の分析を実施する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度は4歳児から9歳児までの言語資料を分析した。4歳児、5歳児の発達の特徴、6歳児、7歳児の変化、8歳児、9歳児の談話に構成等をテキストマイニングにより分析した。次年度は、10歳児以降を分析する予定である。

今後の研究の推進方策

10歳児、11歳児、及び、成人の言語発達を分析する。その後は、第二言語発達に関するデータの分析を行い、発達の特徴を第一言語発達と比較する予定である。

次年度使用額が生じた理由

今年度予定していた学会参加、及び、出張等がコロナ禍のためキャンセルせざるを得ない状態になたため、次年度に回すことにした。そのため、予算の執行に変更が出た。次年度の学会発表の予算に回す予定である。オンライン化された学会もあるので、パソコン、画像編集ソフトウエア、ウェブカメラ等、発表を円滑に行える環境の整備にも予算を回す予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 物語文における4歳児・5歳児の発達に見られる特徴-Frog Storyの分析から-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      教科開発学論集

      巻: 9 ページ: 23-34

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 6歳児・7歳児の物語文の構造-共起ネットワークによる発達過渡期の特徴の分析-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学編

      巻: 70 ページ: 10-18

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 物語談話を構成する能力の発達-8歳児・9歳児のFrog Storyの分析から-2021

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 雑誌名

      愛知教育大学教職キャリアセンター紀要

      巻: 6 ページ: 61-68

    • 査読あり
  • [学会発表] 萌芽期の日本語の物語文の特徴の考察-3歳児のFrog Storyの内容に着目して-2020

    • 著者名/発表者名
      稲葉みどり
    • 学会等名
      日本認知科学会第37回大会

URL: 

公開日: 2021-12-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi