研究課題/領域番号 |
18K00721
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研究機関 | 田園調布学園大学 |
研究代表者 |
藤森 智子 田園調布学園大学, 人間福祉学部, 教授 (20341951)
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研究分担者 |
井上 薫 釧路短期大学, その他部局等, 教授 (70299717)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 植民地 / 植民地教育 / 台湾 / 朝鮮 / 社会教育 / 日本語普及 / 1910年代 / 1920年代 |
研究実績の概要 |
2021年度は、文献資料の収集・検討及び1910年代・20年代台湾、朝鮮の日本語普及を総括することが予定されていた。文献資料に関しては、 前年度に引き続き主に国内において戦前の内地、台湾、朝鮮で刊行された新聞・雑誌・著書を収集、検討した。当該年度も感染症拡大に伴う移動制限のため新たな資料の収集は制約を受けたが、可能な範囲での資料の検討とその一部の発表を主たる作業とした。 朝鮮地域は、1)朝鮮における新聞内容の調査、2)朝鮮における憲兵警察、警察関係史料・雑誌の調査、3)朝鮮における日本語政策関係法令・例規類および統計類調査を引き続き行い、新たに『朝鮮新聞(復刻版)』(1911~1915)、『朝日新聞外地版Ⅱ』鮮満版、寺内正毅関係文書等の収集・検討を行なった。また、佐藤広美・岡部芳広編『日本の植民地教育を問う―植民地教科書には何が描かれていたのか』(皓星社、2020年10月刊行)の合評会(日本植民地教育史研究会研究大会2021年6月20日)において行われた井上論文等への批評に対する「報告と応答」を執筆した(日本植民地教育史研究会会報『植民地教育史研究』通信第67号、2021年10月12日発行、pp.5~6)。 台湾地域は、 1)『台湾日日新報』等の新聞記事、2)『台湾教育』等雑誌記事、3)台湾総督府府報、各州庁報、4)台北州の地方史料等を引き続き検討した。また、台湾教育会出版の社会教育用日本語教本『国語捷径』(1915)を検討、藤森が研究会大会にて発表した。井上は大会でコメントを行い、台湾では1915年時点で、『国語捷径』という社会教育用独自のテキストが作成されていた一方、同時期の朝鮮では、『国語読本』(教科書)の利用がほとんどであったという大きな特徴の違いを指摘した。今後は、その背景や成立過程の事情の違いや教育法の特徴などについて比較・検討し、1910年代・20年代台湾、朝鮮の日本語普及を総括することとする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、文献資料の収集・検討及び1910年代・20年代台湾、朝鮮の日本語普及を総括することが予定されていた。文献資料の収集に関しては、新型コロナ ウィルス感染拡大のため国内外の出張が不可能となり、予定されていた調査の一部を行うことができなかったが、インターネットでアクセスできる資料やこれま で収集した資料をもとに検討・発表を行うことができた。1910年代・20年代台湾、朝鮮の日本語普及の総括は次年度に繰り越すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は、台湾・朝鮮ともに先行研究や入手可能な資料の収集を主に行い、日本語普及に関わる政策や日本語教本に検討を加えた。資料はいまだ検討すべきものがあり、今後も引き続き資料収集と検討を行う予定である。国内外の国立図書館や研究機関をはじめとする関連機関や大学図書館、 個人所蔵の資料、デジタル資料などを利用し収集を継続する。次年度においては、これらの資料をもとに、台湾と朝鮮の日本語普及に関する政策の異同と実態を明らかにし、比較検討を加え、1910年代、20年代の台湾、朝鮮の日本語普及の総括を試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの世界的拡大により、国内外の移動に大きな制約を受けた。旅費をはじめとする予算を執行することが困難となったために次年度使用額が生じた。次年度、可能であれば出張による資料調査を実施する。現地調査が困難な場合は、調査の範囲を限定して収集可能な資料およびこれまでに収集した資料から検討を行う。
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