研究課題/領域番号 |
18K00729
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
宮本 恵美 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (80623511)
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研究分担者 |
馬場 良二 熊本県立大学, 文学部, 教授 (30218672)
大塚 裕一 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (70638436)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日本語学習者 / 失語症者 / 親密度 / 評価 / 訓練 |
研究実績の概要 |
日本語には,様々な意味を持つ多義動詞や助詞が多数存在している。日本語学習者や失語症者にとって,中心義とそこから派生する様々な意味の習得には多くの労を要すると推察される。また,日本語教師や言語聴覚士にとっても,いつどの段階でどの程度の語彙・意味用法を提示していくのかという課題も存在する。我々は,日本語学習者と失語症者を対象に動詞の習得に対して「聴覚的把持力」,「単語親密度」,「意味用法」などを考慮した教材・習得プログラムの教育効果を明らかにすることを目的として研究を行っている。令和元年度は、言語情報処理や意味ネットワークの視点から「失語症者」と「日本語学習者」の格助詞及び動詞習得の誤りのメカニズムの分析を行った調査をもとに作成した格助詞と動詞習得訓練(教育)課題を用いて、日本語学習者15名及び失語症者1名に対し、評価および訓練(教育)を実施した。日本語学習者の動詞課題の評価結果としては、他動詞自動詞ともに高親密度語の正答率が最も高い結果を示した(92.9%、89.8%)。次いで、中親密度(89.8%、84.0%)、低親密度(84.9%、82.7%)の順に正答率が低下する結果となり、高親密度語の評価課題と低親密度語の評価課題の成績に有意差が認められた(p=0.009)。この結果から,親密度の違いによって習得のしやすさに違いがあること,より高親密度の用法が習得しやすいという可能性が示唆された。日本語学習者の多義語の意味理解には単語親密度が大きくかかわっており、それ故に単語親密度に配慮した教育法の確立も必要であると考えられる。教育に関しては、日本語学習者15名に対し、我々が考案した課題を実施したところ、他動詞の成績が改善したものの、統計的有意差は得られていない。今後、日本語学習者および失語症者も被験者数を増やし、より詳細に検証していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
協力していただける被験者が集まりにくい状況が続いているため、研究が少し遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、昨年度の被験者に加え、軽度失語症者19名及び日本語学習者5名に対して、継続して評価課題及び訓練課題を実施する。そして、その結果をもとに、失語症訓練や日本語教育のモデル化と検証を行い、その結果を報告していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定より協力してもらえる被験者が集まりにくかったため、次年度に謝礼等の使用が必要なこと、また、研究成果の報告のための旅費が次年度必要なことが理由としてあげられる。
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