研究課題/領域番号 |
18K00732
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研究機関 | 北海道教育大学 |
研究代表者 |
萬谷 隆一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20158546)
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研究分担者 |
中村 香恵子 北海道科学大学, 工学部, 教授 (40347753)
志村 昭暢 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60735405)
内野 駿介 北海道教育大学, 教育学部, 特任講師 (80825456)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小学校英語 / 教科担任制 / 専科教員 / 外国語活動 / 小学校外国語 / 指導体制 / generalist teachers / specialist teachers |
研究実績の概要 |
2019年度は、研究論文発表1、研究発表を3回行った。 論文は、萬谷隆一. (2019).「 小学校英語における担任教師・専科教師についての教師の意識調査」北海道教育大学紀要 70(1) 165-174.であり、小学校教師335名の質問紙調査から以下の点が明らかになった。1)専科教員の英語指導を望む教員の数が担任教師の指導を望む教員の数より多いこと、担任教師が望ましい理由として、担任教師の児童理解と相互信頼、児童に合わせた指導を重視する理由が多かった。また専科教師が望ましい理由としては、英語力・専門的指導力を重視する回答、多忙感からの理由が多かった。2)英語指導の経験年数が少ない教師に専科教員が望ましいと考える傾向があること、3)英語が好き、自信があると考える教師ほど、担任教師が教えるべきと考えていること、4)担任教師による英語指導を望む教師ほど、児童理解が重視する指導観を持つ傾向があった。結果にもとづき、今後の小学校英語における担任教師と専科教師の制度と指導のあり方について示唆を探った。 研究成果の発表を国内1度、海外で2度行った。国内は、7月22日にJES小学校英語教育学会北海道大会で発表した。国外では、9月26日にポーランドの2nd International Conference on Child Foreign/Second Language Learningにおいて、専科教員についての研究成果を発表した。ヨーロッパにおける小学校英語専科教員制度の視点から有益な示唆を得た。次に11/14-15のイタリアにおけるInnovation in Language Learning Conferenceにおいて発表し、イタリアの小学校英語専科制度についての現状についての情報も得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校英語における専科教員制度についての小学校教諭の賛否とその判断に影響する要因について、300名以上のサンプルを得ることができ、全体的な傾向についてある程度示唆を与えることができたと判断している。大学レポジトリによるダウンロードカウントは、2019年12月33回、2020年1月56回、2月26回、3月21回、通算146回となっている。また学会発表も国内1回海外2回合計3度行い、成果の普及とフィードバックを得る努力も行った。 まだ報告には至っていないが、専科教員の聞き取り調査も3件(札幌市2件、釧路市1件)行っており、専科教員の指導児童数の過酷な状況(600~800人)、評価方法と処理の困難さ、担任教師との協働についての工夫と努力、専科教員だからこそ可能な英語指導のメリット(教材作成、指導方法の工夫、同一教材を複数回教えることによる慣れ等)とデメリット(児童理解が薄く、英語指導、とりわけコミュニケーション活動を深めにくいこと、また児童の能力程度についての不理解から指名などにおいて細やかな配慮がむずかしいこと、担任には可能な時間の柔軟な運用の難しさ等)について具体的な事例と懸念についての見通しも得られている。また逆に、専科教員では困難な、担任教師による英語指導のメリットについての意見など、今後の研究に向けての手がかりも得つつある。 なお、北海道教育委員会の小学校外国語活動巡回教員制度における研修会(8月26日)において、全道の小学校外国語活動巡回指導教員に対して助言を行い、本研究の成果をもとに専科教員の現状と課題について、制度的な改善点も含め、研修を行い、社会的な貢献にも努めた。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度においては、当初計画していた教育効果についての調査等が専科教員の資質に大きなばらつきがあり担任教諭との比較・一般化が難しくなったこと、またコロナウィルスの広がりにより、面接調査・児童調査などが支障が出たために、質問紙調査および専科教員からの聴取により、小学校外国語科における専科教員制度の現状と課題の把握を行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の広がりとリスクが高まったため、旅費の支出が大幅に減った。また面接調査などの調査資料のデータ処理においても、予定した入力作業にかかわる業務量が減少し、予定額よりも支出が少なくなった。最終年度においては、残額を面接調査の書き取り調査資料の入力処理、データ処理のための機器等、調査旅費、研究発表旅費等に使用する計画である。
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