研究課題/領域番号 |
18K00734
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
松浦 浩子 福島大学, 経済経営学類, 教授 (70199751)
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研究分担者 |
千波 玲子 亜細亜大学, 国際関係学部, 教授 (10227332)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 国際共通語としての英語 / 受容態度 / リスニング |
研究実績の概要 |
本研究は、日本国内で英語教育を受けてきた大学生、及び初級学習者である中学生を対象に、英語変種への受容態度、音声理解度、コミュニケーション意欲、またそれらに影響を及ぼす要因等を分析し、学校現場で扱うことの多い米語以外の音声英語を教室に導入するのに適切な時期について考察することを目的としている。研究期間の初年度は受容態度に焦点を当てた。研究課題は次の2点であった。(1)中学生は多様な英語発音に対して大学生と同様の態度を示すのか?(2)中学生の学習歴等の個別的背景は、英語発音の受容態度にどのように関係しているのか? 具体的には、アメリカ、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール出身の英語話者が吹き込んだ英文を日本で学ぶ大学生と中学生に呈示し、2つの被験者集団が受けた印象を質問紙を介して調査した。結果、英語を本格的に学び始めて間もない中学生は、4種類の発音に対して大学生とほぼ同様の態度を示していた。また、中学生の個別的背景と英語受容態度との関係性については、英語力が高く、授業外でのリスニング習慣があり、海外渡航経験がある生徒ほど、最も高く評価されたアメリカ英語と低く評価されたシンガポール英語間の態度の開きが大きいことがわかった。これらの結果は、英語発音に対する好みがかなり早い習得時期に形成され、固定化されること、またアメリカ英語以外の変種への理解及び慣れが不足していることを示唆していると思われる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間の初年度は、中学生と大学生の世界の多様な音声英語に対する受容態度を比較することを目標に掲げた。年度中に中学生と大学生を対象とした言語態度に関する調査を実施し、成果を学会大会にて発表した。また、結果をまとめた論文を執筆し、年度末までに公刊することができた。
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今後の研究の推進方策 |
若い生徒を指導する英語教師の態度、及び学校現場で使用される教材が、学習者の多様な英語発音に対する態度に影響を及ぼしていると思われる。研究期間2年目は、現役の中学校英語教師、及び大学の英語教職課程に在籍し、教師を目指す学生を対象とした調査を実施する予定である。グローバルコミュニケーションのための英語教育とはどのようなものなのか、教師と教師予備軍である大学生が抱くイメージや理想的教育方法を明らかすることによって、一般的教育モデルであるアメリカ英語以外の英語変種を初級英語の教育現場に導入することの是非について考察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外で開催された国際学会にて研究成果の一部を発表したが、開催地が日本に近いアジア地域であったため、旅費に余剰が生じた。また、パソコンの更新に合わせてソフト類を更新する予定であったが、導入時期にずれが生じてしまった。次年度の早い時期にSPSSを含むパソコンソフトを購入予定である。
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