研究課題/領域番号 |
18K00738
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
日野 信行 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 教授 (80165125)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | EIL / CLIL / ELF / EMI / World Englishes |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルス以降はCLILによる国際英語 (EIL) 教授法の研究に関して実践面に加え理論面の考察にもかなりの重点を置くに至った本研究プロジェクトにおいて、本年度は、学会誌論文1編、国際シンポジウム招待講演1件、海外研究会招待講演1件、国際学会大会発表1件により、理論及び実践の両面にわたる発表を行った。具体的には下記の通りである。 学会誌『日本英語教育史研究』における論文では、本研究代表者日野は、「国際英語」教授法への日本的なアプローチにおける歴史的・文化的要因について考察した。また、Ee-Ling Low 教授やRuanni Tupas 教授をはじめとする「国際英語」研究の世界的権威がオンラインで結集した東京外国語大学における国際シンポジウムでは、日野は、招待講演者として、日本に代表される Expanding Circle(拡大円)諸国での「国際英語」教授法における独自の英語モデルの意義について論じた。さらに、コロナによる海外渡航制限が緩和された後まもなく対面で行ったハワイ大学マノア校の第二言語研究会での日野の招待講演では、Global Englishes (GE)の概念をキーワードとして、「国際英語」教授法のパラダイムや文化的側面等とともに、国際英語のCLILにおける具体的な授業実践について論じた。 そして、台湾の大学をホストとしてオンラインで開催された、本研究分野で世界的に大きな影響を有する国際ELF学会では、日野及び研究協力者小田の共同発表として、CLILによる「国際英語」教授法における発音教育について、Jenkins (2000)の Lingua Franca Core (LFC)を再評価するにあたり、「脱二項対立」及び「相対化」によって発音のモデル構築に資することを提案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの状況により、フィールドワークの実施や、フィードバックを得るための学会発表等に制約が生じ、当初の計画からはやや遅れを生じることとなった。研究期間の1年延長が認められ、本年度も研究を継続できることになったので、国際学会IAWE大会での研究発表や現在進行中の国際学術書での論文執筆を含め、本年度は研究を加速して研究を完了したいと考える。
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今後の研究の推進方策 |
本科研の後半の成果発表の大きな目標としてきた、「国際英語」分野において世界で最も権威のある International Association for World Englishes (IAWE学会)第25回大会が、新型コロナウイルスの状況のため二度にわたって延期となり、最終的には2023年6月に米国で開催される運びとなった。このIAWE第25回大会での発表プロポーザルが採択され、本科研の後半部分に主として実施した理論面での考察を中心とする発表を予定している。本科研の前半においても、このIAWE学会での講演及び発表に対して各国の一線の研究者からのフィードバックを得てさらに研究が発展しており、重要な節目となるものと考えている。 また、本研究代表者の前任校からの定年退職とともに着任した大学では、CLILによる「国際英語」教育としての側面を有する授業を担当しており、そこでの実践と省察からも知見を得ることができると考えている。 さらに、コロナ状況の改善とともに、他大学の授業観察が許されるチャンスも増加すると期待されるので、CLILによる「国際英語」教授法のさらなる発展への手がかりを得るための授業観察の機会を求めていく。 また、文献研究を中心としての、「国際英語」教授法の理論的パラダイムの考察も引き続き実施していく。 なお、現在、本科研代表者は、香港の研究者を編者として進んでいる国際学術書の企画に執筆の招待を受けており、本科研の最終的な成果のまとめの一部はそこに寄稿する論文において行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
科研成果の発表として、2022年度に本研究代表者と研究協力者の共同発表を実施することを計画していた米国ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校での対面の国際学会International Association for World Englishes (IAWE学会)第25回大会が、新型コロナウイルスの状況のために2023年度(2023年6月)対面開催に延期されたため、その旅費を2022年度には執行しないことになったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。このたび、同大会での発表プロポーザルも採択されたので、2023年6月に当該の発表を同大学において行う予定である。
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