研究課題/領域番号 |
18K00741
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
植村 隆 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (90786097)
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研究分担者 |
池田 真 上智大学, 文学部, 教授 (10317498)
青柳 成俊 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 教授 (70231785)
田中 真由美 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (50469582)
市村 勝己 長岡工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (60746387)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CLIL / 工学系大学院英語教育 / 工学英語 / 高専 / ものづくり英語 |
研究実績の概要 |
本年度 (2020年度)は、昨年度(2019年度)のパイロット授業実践検証結果をふまえ、シラバスおよび教材の改善と1セメスター分の本格授業に対応する教材内容(授業用・予習用)の拡充・開発を行った。これらの拡充化された教材群を導入し、15回分の本格授業実践を行った。パイロット授業実践検証内容については、本年度、The Journal of the Japan CLIL Pedagogy Association (J-CLIL) に査読付き論文として研究成果が出版されるに至った。また、日本工学教育協会 第68回年次大会・工学教育研究講演会において、エンジニアとの協働により実現した特色あるCLIL教材開発に関する学会発表を行った。更に、J-CLIL東北支部大会への基調講演招待を受け、本研究を通じた工学系大学院でのCLIL活用型授業実践事例を紹介することで本研究の対外的発信を図った。
新型コロナ感染症対策下でのCLIL活用型ものづくり系英語教育の本格授業実践はオンライン形式での授業展開となった。また、少人数クラス編成(日本人大学院生3名、留学生2名)となったため、オンライン授業によるCLIL活用型の本ものづくり系英語指導に対する工学系大学院生(日本人および留学生)の反応とCLILの文化的、認知的側面の習得について半構造化インタビューを実施した。収集データは質的内容分析を行い、以下の主な結果を得た。(1) ビデオ会議システムを使ったグループディスカッションに対する肯定的見解、(2) 異文化・学際的コミュニケーションにおける実践的かつ共感的な配慮、(3) 状況に適した言語の形式および機能に対する意識の芽生え。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症対策の影響により、特化すべき研究活動を絞る必要が生じた。具体的には、優先度の高い、シラバスおよび教材の改善と、1セメスター分の本格授業に対応する教材内容(授業用・予習用)への拡充・開発に注力する舵取りを迫られた。その結果、学習者スピーキング課題に対する正確さ (accuracy)・流暢さ (fluency)・複雑さ(complexity)等観点からの言語データ分析および学習者による言語習得度合いの検証への着手が難航した。
また、同感染症対策の影響により、選択科目である研究対象科目の開講時期変更措置が必要となった。この緊急事態に伴い、当該科目の最終受講者数は一桁に留まったため、例年通りの十分な研究対象学生数を学習者スピーキング課題の言語データ分析および学習者による言語習得度合いの検証のために確保できなかった点が挙げられる。
イギリスで開催の応用言語学系の国際学会発表の計画についても、同感染症対策の影響により、開催が延期となったため応募書類を2021年度の開催に向け改めて修正・更新する形で臨む計画に変更を迫られた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナ感染症対策の影響による緊急事態に伴い、最終受講者数は一桁に留まった2020年度であったが、2020年度に比べた研究対象授業実施校における状況の安定化傾向により、2021年度は例年通りの開講時期に研究対象科目が運営できることとなっている。例年の受講者数傾向であった2019年度並みの受講者数確保を2021年度は見込んでおり、本研究最終年度となる2021年度に母集団のより大きい教育実践環境の中で、学習者スピーキング課題の言語データ分析および学習者による言語習得度合いの検証を発話の正確さ (accuracy)・流暢さ (fluency)・複雑さ(complexity)等の観点から検証する予定である。また、2020年度に本研究チームにより内容を拡張させた開発教材に対する受講生からのより客観的なデータ収集・分析を試みる。
また、4年間に渡る本研究成果の発表を応用言語学系の国際学会および論文投稿により発信していく計画である。更に、開発教材について研究対象授業完遂後、受講生からのフィードバックや研究分担者全員の改善提案を総合的に鑑み、より教材内容を洗練化させる予定である。これまでの本研究チームによる取組の集大成としてエンジニアとの協働で開発を行ってきたCLIL活用型教材と教育手法の対外的発信(他学への教材展開・授業実践等)を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染症対策の影響により、対面での研究打ち合わせが事実上できなくなったため、旅費の支出が緊急事態により適わなくなったことが大きな要因となった。2021年度は既述のように若干遅れている本研究を軌道に乗せるべく、新型コロナ感染症対策が年度内に、より安定化してくることを想定し、研究遂行上より効率的・生産的運営手段と考える対面打ち合わせの機会を感染拡大地域ではない研究分担者所属校付近に適宜設定し、開催できるよう旅費を見積もっている。状況の安定化が見えにくい場合を想定し、最終年度の包括的研究成果の質を上げるため、学会発表に関連する応募書類、投稿論文、そして開発教材等の英文校正費に使用することを計画している。
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