本研究では、第二言語学習者(日本人英語学習者)がどのように第二言語を処理し、理解しているのか、またその分節方法が習熟度によって変化するのかを調査した。具体的には、日本人学習者は英単語を聞き取るときにモーラを用いて単語を分節しているのか、また英語の習熟度が上がると、モーラ分節から音節分節へと変化するのかを調査することにより、日本人母語話者のモーラ単位による言語処理仮説を検証し、異なった英語習熟度の第二言語学習者の分節方略を調査することで、言語処理能力の発達を検証した。 本研究目的を達成するため、3つの探知課題を日本人英語上級話者16名、英語初中級学習者16名、および英語母語話者16名に行った。探知課題1では、子音母音(CV)および子音母音子音(CVC)からなる単音節語を目標単語として(音声提示)、2音節からなる語境界が明白な無意味語と曖昧な無意味語に埋め込み、どちらの音節構造の単語をそれぞれの文脈で速く正確に分節できるかを調査した。探知課題2では、モーラ分節仮説を検証するため、日本語の特殊拍である鼻音(N)を持つ目標単語を、CVCNとCVCNCを目標刺激単語として(音声提示)、語境界の明白な場合、曖昧な場合でどちらを速く正確に分節できるかを調査し、探知課題3では、文字(ローマ字)の影響を検証するため、探知課題2と同じ研究方法で、目標単語の提示を音声からローマ字に変えて調査した。本調の成果発表を、2019年度の国際学会で行う予定である(査読審査通過済み)。
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