研究課題/領域番号 |
18K00744
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
東矢 光代 琉球大学, 国際地域創造学部, 教授 (00295289)
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研究分担者 |
大城 賢 琉球大学, 教育学部, 教授 (80280303)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 英語による授業 / 複線径路等至性アプローチ / 小中高連携 / 教師教育 / 教師の成長 |
研究実績の概要 |
今年度は中高の現場英語教員へのインタビュー調査を集中して行った。目標10名のところ、それぞれで9名のインタビューを終了し、書きおこしを行った。各参加者約1時間~1時間半のインタビュー調査を通して、およそ以下のことが明らかになった。1.高校英語教員におけるモデル教員の存在と影響 2.高校における学校間の学力差に基づく経験校の影響 3.高校英語教員に見られる学習指導要領(英語による授業の推進)の影響 4.中学校英語教員に見られる自分自身の英語コミュニケーション能力向上への意欲 5.中学校英語教員に見られる研修の影響と好ましい内容 6.両校種に見られる自らの英語習得・学習経験の授業スタイルへの投影 このうち、1のモデル教員については、特に正規採用の際の指導教員が英語による授業を実践していた場合に強い影響を受けたり、それまで生徒が受け入れにくいと感じていた英語による授業をいかに実践していくかの具体的な方策を得たことが、その後の当該教員の教授法・実践を方向付けていることが明らかになった。また大学卒業後、学習指導要領の変化や社会的影響により、英語による授業を実践しやすい環境になってきたこともわかった。英語による授業への最大の躊躇は「生徒がわからないのでは」という教師の懸念であり、それを払拭し、「英語でもわかる」授業スキルを知り得ることが、大きな転換につながることが示唆された。転換を促すものとして、英語による授業に関する研修について、複数の調査回答者から言及があった。特に実践的な内容で、現場で英語で教えている教師による研修や、公開授業などが、「自分もやってみよう」という意欲と行動につながることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
中学校・高校においては、目標とするインタビューの9割を終了しており、書き起こしもそろい、分析を進めている。その成果を学会発表や論文にまとめることも進めており、最終年度に向けて、予定通りの進捗となっているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで取得できているデータの分析を引き続き行い、英語による授業に向かう、あるいは妨げる要因を校種別にまとめる。コロナウィルスの影響により、直接面接しての調査が難しくなることから、さらに必要なインタビュー調査については、Zoomなどの遠隔面談に切り替えて実施する。小中高の教師の成長や経験の違い・特色に鑑み、共通するモデルと異なるモデルの策定を試み、その成果を基にした研修内容を策定する。 成果の公表に関しては、学会等でのオンライン発表を試み、国内外での論文公刊を目指す。同時に、参加協力者たちの教師としての成長と、その中での英語による授業への歩みをモデル化した本の執筆を模索したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はデータ収集に注力したが、インタビュー調査に応じてくれた現場教員のほとんどが謝礼を辞退した。また、予定していた学会発表がコロナウィルスの影響で中止となり、オンライン発表になったことから、旅費も当初予定ほど執行できなかった。 翌年度(令和2年度、最終年度)は、より積極的な成果発表に向けて、オンライン発表も含め、学会参加費や旅費(コロナウィルスが収束した場合)に使いたい。また英語での発信を考慮し、校閲費も積極的に使う。さらに、フォローアップ調査も対面が難しくなることから、遠隔によるインタビューができる環境を整え、さらにデータ収集に努めると同時に、当初の予定だった現場への研修内容提案に向けて、研修に使える資料の作成にも予算を充てたいと考える。
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