研究課題/領域番号 |
18K00746
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
清水 義彦 富山県立大学, 工学部, 准教授 (90548322)
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研究分担者 |
岡崎 浩幸 富山大学, 大学院教職実践開発研究科, 教授 (20436801)
加納 幹雄 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (70353381)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 海外交流学習 / ICT活用 / 学習指導要領 / 授業モデル / 小中校一貫モデル |
研究実績の概要 |
研究命題である「日本の若者の国際競争力を高める」には、日々の英語授業に海外交流学習が取り入れられ、英語教科書と連動した小中高それぞれでの学習モデルが必要と考えている。小学校、中学校、高等学校それぞれで、海外交流授業を組み込んだ授業年間計画の完成が必要であると考え、実践を重ねている。 研究課題1は、小中高一貫した海外交流授業の連続モデルの完成(8年連続モデル)である。30年度は、本研究の協力校で、1.実践の共有、2.他校種間で互見授業推進、3.学習モデルの試行と点検を計画した。結果は、1.実践の共有、3.学習モデルの試行と点検は、研修会や勉強会で順調に進んだ。2.他校種間で互見授業に関しては、教員の多忙化、校種間の垣根の高さ、抵抗感などからビデオでの視聴にとどまった。 次に、研究課題2は、教科書を使った授業と連動した授業モデルの充実と普及である。平成30年度は、小学校、中学校、高等学校で、年間計画作成→授業指導案作成→授業実践→振返りを繰返し、データを蓄積することであった。結果は、小学校5年生で、新学習指導要領に向けての移行期間モデルとして県教育委員会が作成した50時間年間指導計画の中に海外交流学習を組み込む学習モデルを開発、試行、効果検証、修正を終えた。高等学校では、タブレットを使用し、クラス全員の生徒が海外の同学年の生徒と1対1もしくは2対2で個別に英会話する環境が定着した。28年度に開発した年間指導計画をさらに改善した。加えて、授業内容(コンテンツ)の充実に力を注いだ。SDGsを11回にわたり意見交換する学校や、歴史の教員と英語の教員の連携でアジア諸国と日本の過去(台湾併合の歴史)に教科横断型授業で取り組む学校が出てきたことは特筆すべきである。これらの学校は、平成31年度も次の学年の教員が取り組み意思を示しており、学校の年間計画に位置付けられたことは大きな進歩である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
小学校では、移行期間の5年生50時間モデルの中に海外交流学習を組み込むモデルを構築し、実行して効果検証ができた。 高等学校でも、年間の海外交流モデルができあがり、その授業内でディスカッションする内容の充実に力を注いでいる。 中学校での進捗状況が小学校、高等学校ほどは芳しくない。31年度の課題は、中学校現場での実践である。 また、学校の年間計画に位置づいていない学校は、年度末の管理職・教員の異動、学年進行で振出しに戻るケースがいくつもあり、研究課題1、研究課題2に取り組む上で、教育委員会や管理職との協力体制、そして核となる教員の育成が不可欠であり、研究課題ではないが取り組むべき課題としてこの点も盛り込んできた。中学校での取り組みが平成30年度は、まったく進まなかった原因はこの点にある。中学校で中心となり取り組んでいた複数の教員が29年度末に異動し、30年度は研究を進めることができなかった中学校現場で平成31年度はいかに遅れを取り戻すことができるかが課題である。
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今後の研究の推進方策 |
まずは、中学校版年間計画を立て、実践するのが31年度の課題である。教員の負担軽減と仕事量削減が教育委員会と学校管理職が最重要項目としてかかげていることであり、その中でこの海外交流学習の優先順位を上げ、日常の学校の活動に取りくむことができるかという状況で一番導入しづらい校種が中学校である。 その対応策として、現在ある中学校の校長と検討しているのが放課後の部活動としての活動である。クラブ活動では、学年やクラス固定ではなく、希望すればどの所属の生徒であっても参加でき、やる気のある生徒集団であれば担当教諭もラポートもとりやすく生徒の行動自由度は上がるため生徒主体の活動も可能で、担当教諭の心身の負担は軽減できる可能性がある。現在、中学校1校に協力依頼をしている。先行して、その中学校と隣接する小学校で4,5,6年生の週1回のクラブ活動で海外コミュニケーションクラブが創設された。この小学校は昨年度よりクラス単位で海外交流を6年生で取り入れている。4,5年生にも機会を提供したいと新たな取り組みを開始しており、今後の中学校でのモデルとなる可能性があり、この取り組みをベースに中学校モデルを提案してみたい。 このように、平成31年度は教育委員会と学校管理職と連携を密にして、中学校では、放課後のクラブ活動の可能性を探る。加えて、この隣接する小学校と中学校で、小学校4年か中学校3年までの一貫した海外交流モデルの構築を目指したい。このような異校種間の交流には、教育委員会の担当部署と学校管理職の理解と協力が必要であり、実施に向けた環境整備を進める。 高等学校では先に記した通り、ディスカッション内容を重視した学校の支援をしながら年間指導計画を充実させるとともに授業モデルを充実させていく。そして、他校への広がりを模索していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度の国際学会を開催するため
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