研究実績の概要 |
本研究の目的は、代表的な第二言語習得理論の一つである処理可能性理論(Processability Theory, Pienemann, 1998; 2005; Bettoni & Di Biase,2015)で予測される普遍的発達段階と、近年の語学教育現場においてCan-Do チェックリストや評価ルーブリックの作成などに幅広く用いられているヨーロッパ言語共通参照枠(Common European Framework of Reference for Languages; CEFR)レベルとの関連性解明である。 申請者は、これまで構築してきた日本人英語学習者の口頭と筆記のナラティブデータによる学習者コーパスを用いて、各学習者のスピーキングとライティングにおける文法発達段階を処理可能性理論に基づいて分析し、ヨーロッパの専門家によるCEFRレベル評価の結果と比較調査を実施し、日本人英語学習者の文法発達段階とCEFRレベルがどのように関係しているのか、また、スピーキングとライティングによる違いについての考察も進めている。 2020年度に続き、2021年度もコロナ禍の影響によって、データの収集や分析を海外研究協力者と対面で実施することが叶わなかったが、海外研究協力者との遠隔会議によって専門的知識の提供を受け、これまでに構築した日本人学習者のナラティブコーパスデータを精査し、遠隔開催された国際会議での口頭発表や専門ジャーナルへの論文投稿に繋げることができた。 2021年度に新たに着手したオーストラリア在住の日本人英語学習者データと中国人英語学習者データとの比較調査については、海外研究協力者と共に初期段階の研究成果を国際学会にて発表し、専門ジャーナルにて共著論文を発表することが出来た。
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