本研究は、日本人英語学習者が英文読解時に単語の再注視(注視回数が2回以上)を行う要因と、単語の認知方略(単語に複数回の注視を左から右へ置くようなローカル方略と、単語の中心に注視を1回のみ置いて視覚情報を並列に処理していくグローバル方略)を特定し、これらの関連を調べることである。 これまで、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響のため、予定していた単語の予測度に関する調査計画の実施は行うことができなく、計画の進捗が遅れていた。2023年度は、単語の予測度に関する調査を行った。また、調査に関して、これまでの新型コロナウイルス感染症の拡大の影響による調査計画が遅れていたため、調査の手法、調査の規模を見直し、より少人数のデータを収集し、調査を進めた。 調査では、すでに収集した日本人英語学習者および母語話者の英文読解時の眼球運動データで使用した英文に出現する単語の予測度について、実験参加者に対し、Clozeテストを実施した。現在、日本人英語学習者が英文読解時に単語の再注視を行う要因と単語の認知方略の関連について、これまで収集してきたデータに対し処理、分析を行っている。分析では、①推定した単語の予測度と、②再注視を引き起こす他の要因(単語の出現頻度と語長、読み手の読解力構成技能)、③単語の認知方略とその効率性、の関連について、線形混合モデル(linear mixed-effects model)を用いる。データ分析を終え次第、今後は調査の結果を発表する予定である。
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