研究課題/領域番号 |
18K00768
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
田中 真由美 武庫川女子大学, 文学部, 准教授 (50469582)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語絵本の読み聞かせ / 外国語活動 / クリティカル・リーディング / ことばと文化への気づき |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小学校外国語活動におけることばと文化への気づきを促す英語絵本のクリティカル・リーディング指導法を開発することである。小学生にとって英語で書かれた本を一人で読むことは難しいため、ここでいうリーディングとは、読み聞かせという手段で教師と児童が交流しながら共に読むことである。本研究は①「ことば」の概念の体系化、②ことばと文化に対する気づきを促す英語絵本の選定、③クリティカル・リーディングの指導法の実践と検証、④クリティカル・リーディングの英語学習と国語科での読むことの学習への影響に関する調査の4段階で構成され、小学校外国語活動におけるリーディングの指導法及び英語教育と国語教育の連携の在り方を提案するものである。 2018年度は上記①(「ことば」の概念の体系化)と上記②(ことばと文化に対する気づきを促す英語絵本の選定)を行った。①に関しては、ことばが持つ仕組みと働きに関する文献研究を行った。②については、英語の絵本分析と児童の絵本の読み聞かせに対する意識調査を行った。文化とことばに関して児童にどのような気づきを引き起こせるかや、どのように授業で指導するかについて小学校で外国語の授業を担当している研究協力者と検討した結果、中学年では、絵本で使用されている英語の音声的特徴、物語の談話構造、テーマ、文化的背景を扱った指導が可能であることがわかった。絵本の読み聞かせを年間を通して継続的に行った学級の児童に対して授業についての自由記述の質問紙調査を行ったところ、内容に物語性やメッセージ性のある絵本を扱った授業を好意的に感じていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度はことばの概念の研究と絵本分析を行った。絵本分析では、研究協力者から実践に関する具体的な意見を聞くことができ、また、英語絵本の読み聞かせの授業を受けた児童から授業に関する意見や感想を聞けたことは大きな収穫であった。ことばの概念の研究と絵本分析は2019年度以降も継続して行い、授業実践に関する研究と照らし合わせながら追加や修正を繰り返す。 2019年度以降の研究の準備として、実践研究のフィールドとなる小学校の教諭らと事前打ち合わせをした。本研究の目的と期待される成果を説明し、研究協力の同意を得た。 英語教育に関する学会に参加して情報収集を行ったことに加え、絵本の読み聞かせに関する口頭発表と論文の投稿も行い、他の研究者らと意見交換をした。 当初計画した通り上記の取り組みを行ったため、本研究課題はおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、英語絵本の読み聞かせの指導実践とデータ分析を行う。ことばの概念の研究と絵本分析を踏まえ、研究協力者らと指導法を協議して決定する。その後、研究協力者らが外国語活動においてことばへの気づきを促す絵本を用いた指導を月に1回程度行う。児童の反応についてのデータをビデオ撮影や児童の振り返りシートによって収集し、どのようなことばへの気づきが生まれたかに基づいて指導法を評価する。 2020年度は前年度に行った指導方法の評価結果に基づき、指導法の改善策と学習評価の観点を研究協力者らと議論し、研究協力者らがそれらを踏まえた指導を外国語活動で月1回程度行う。ことばや文化への気づきに関して発言やコメント記入があったかを評価の観点として、指導法が適切であったかを検討する。ことばへの気づきが英語の文字を読むことと国語科における読むことに対する興味・関心に影響があるかを検証するために、児童に対して質問紙調査を行う。 最終年度は「ことば」の概念を体系化したものを提示すると共に、それをシラバスやカリキュラム作成へ応用する方法を提案する。また、ことばと文化への気づきを促す絵本を用いたクリティカル・リーディングが英語の文字や国語科における読むこと学習への興味・関心に影響があったかどうかを報告し、国語教育との連携の在り方を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
文献の購入を計画していたが、所属機関で閲覧できる電子ジャーナル等の文献を活用したため2018年度は科研費で購入する必要がなかった。次年度以降は所属機関にはない文献の購入を予定している。
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