研究課題/領域番号 |
18K00771
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研究機関 | 西南学院大学 |
研究代表者 |
杉山 香織 西南学院大学, 外国語学部, 教授 (00735970)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 語彙知識 / リーディング / 読解 / 語彙知識予測 / CEFR |
研究実績の概要 |
本年度の目的は、語彙知識に基づいたリーディングの得点予測の精度を上げることである。 前年度の研究により、CEFRのガイドラインに基づく語彙知識予測モデルが最も有効であり、読解得点に関しても高い水準で予測することを明らかにした。しかし、モデル構築に使用したデータは限られた学習者のものである点や、調査した単語数も少ない点が依然として課題として残った。 そこで、本年度は異なる学習者を対象とし、異なるテキストを使用して、CEFRのガイドラインの情報が付与された単語テストによってリーディング得点をどの程度予測できるかを調査した。48人の学生を対象に、DELF A2のリーディングセクションの模擬試験と、同じ文章に出現する語彙知識を問う単語テストを実施した。模擬試験については、DELFの配点に従って採点を行い、単語テストについては、まず単語のCEFRレベルをFLELexのBeacco版(https://cental.uclouvain.be/cefrlex/flelex/analyse/)を用いて判定し、A1レベルとそれ以上の単語テストの正答率を出した。この単語テストのA1レベル正答率とA2レベル以上の正答率を説明変数、模擬試験の得点を従属変数として重回帰を行った。 その結果、回帰式は読解得点の73.5%を予測することができた。さらにリーディングセクションの合格点に到達したグループとそうでないグループに分類し、2つのグループの単語テストの解答を比較したところ、合否を分けたのは、前置詞、英語から推測できる中・低頻度の単語、文化的知識を要する単語の正答率であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
データ収集の進捗状況についてはおおむね順調である。新型コロナウイルス感染拡大により、調査者を十分確保することができなかったが、そのような状況下においてもデータ収集を続けることができた。 分析面に関してもおおむね順調に進展している。前年度までの研究結果に基づき、CEFRの語彙レベル情報を変数とすることで、読解得点の予測モデルを精緻化することができた。 一方、当初予定していた海外からの専門家を招いた研究会の開催がかなわなかった。また、研究成果を公開する機会が少なかった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は最終年度となるため、読解得点予測モデルを完成させ、教育現場への応用について考察を加える。また、フランス語の語彙知識と英語の語彙知識との関連が見られたため、さらに詳細に調査する必要がある。特に英単語と同形の単語や、類似した形を持つ単語を自動的に判定し、英単語の語彙頻度やCEFRレベルと関連付けたシステムを開発する必要がある。 さらに、新型コロナウイルス感染症の状況次第ではあるが、国際ワークショップの開催、学会発表、報告書の刊行を通して、本研究の成果を発表していく必要がある。これまでの分析から、本研究において自動言語処理的観点からの研究の重要性が確認できたため、その技術を取り入れてリーダビリティ研究を行う研究者を国際ワークショップに招待して、本研究の成果を共有するとともに、さらなる研究の発展に向けた検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により,当初予定していた調査,国際ワークショップの開催,出版物の刊行ができなかったため。
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