研究課題
昨年度までの研究では、動詞を除く内容語について受容語彙知識を分析し、内容語の語彙知識は読解を行う上で大きな役割を担っているということを明らかにした。具体的には、A2レベルの内容語の語彙知識を測定することで、読解のスコアはの73.5パーセントを予測することができることを示した。しかし、それだけでは包括的な受容語彙知識を測定することができない。なぜならフランス語の読解を行う上で、動詞の正しい時制や法の理解は必ず求められるからである。そこで、今年度はA2の読解テキストを分析し、テキスト内にフランス語の時制と法がどのような割合で現れるのかについて、研究を行なった。まず、形態素解析ツールSpacy-Stanzaを用いて形態素解析したのち、時制を特定するコードを作成した。フランス語は、POSの動詞部分だけでは時制や法を決定できない場合も多い。複合時制(複合過去、大過去、条件法過去、接続法過去など)、代名動詞、近接未来、近接過去、ジェロンディフは、法動詞や代名詞や前置詞とともに動詞を見て、時制・法を判断する必要があるため、それらの時制を自動的に判定できるコードを作成する必要があった。次に、CEFR準拠のA2レベルのテキストの読解部分をコーパス化して、それぞれの時制・法の割合を算出した。フランス語では人称と時制・法の組み合わせが90通りあるが、直説法現在形(6つの人称)がすべての時制・法の約65パーセントを占めていた。この時制に加えて、直説法単純未来形(三人称単数形)、直説法過去形(一人称単数形、三人称単数形)、直説法複合過去形(一人称単数形、三人称単数形、三人称複数形)を含めると、これらの時制・法が全体の90パーセントを占めることがわかった。
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Actes du quatrieme colloque international de l’ATPF ; Les multiples facettes du francais et son enseignement au 21e siecle : plurilinguisme, pluriculturalisme et innovations ;
巻: 1 ページ: 332-357