研究実績の概要 |
リスニング用オンライン学習(e-learning)を授業外活動としておこなう日本人大学生の学習行動とその効果について、動機付けやメタ認知といった自己調整学習の構成要素がどのように関係しているかを調査している。 初年度の予備研究を経て、2年目から学生の学習行動を調査した。その結果、積極的なe-learning行動をとる学習者はメタ認知が高いことがわかり、また、インタビュー調査では、そういった学習者はtaskの目的や特性にあった学習方略の知識(メタ認知知識)を、学習計画・遂行・省察の段階で有効に利用していることが判明した(メタ認知活動)。 期間延長となった4年目には、e-learningで用いるメタ認知知識、特に学習方略の使用について自己調整学習の枠組みから調査した。一般に、e-learningを円滑に進める学習者は自己調整学習能力が高いと言われるが、e-learning成功者が用いる学習方略は必ずしも自己調整によるものばかりではなく、他者調整されるものや、メディアのアフォーダンスによって生じる方略もあることがわかった。 5年目には、コロナ禍のもと、オンライン留学に従事する学生のe-learning行動も調査し、ここでも学習者が用いる方略は他者やメディアのscaffolding(はしごがけ)によるものが少なくないことが判明した。こうした結果から、e-learning 成功者が用いるメタ認知知識、中でも学習方略は、自己調整によるものだけでなく、他者やメディアに依存するものもあるため、教師による積極的な介入(i.e., e-learning 方略指導)が学生の e-earning 学習成果を高める可能性があることを主張している。 最終年度は、これまでの研究成果をまとめ、国内外のジャーナルや学会紀要に投稿し採択された。
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