本研究の目的は、日本の大学の学部生と留学生が共に学ぶ英語での多文化クラスにおいて、特に日本の学部生の英語使用に関して、留学生に比べて英語でうまくコミュニケーションできていない傾向について、改善する方策を探究することである。 研究計画当初は、非母語話者の言語的スキルやコミュニケーションストラテジーを高める教育を発展させることを中心に考えていたが、日本の学部生の英語の発話がうまくいかない原因は、英語スピーキングスキルよりも、心理的な言語障壁であると判明してきた。また、リンガフランカを目指す教育は、非母語話者に向けてだけでなく、母語話者も含めて教育する必要があるという重要性を認識するようになった。リンガフランカのコミュニケーションでは、母語話者や言語能力の高い非母語話者がわかりやすく伝える言語調整行動が重要な要素である。 よって、非母語話者の心理的な「言語障壁」、「言語不安」を軽減する方法を導入する方向性で研究を進めた。その言語空間に、複言語要素を取り入れ、多言語空間にすることにより、共通言語が一つのときよりも心理的な障壁が軽減され、特に話者にとっての非母語の使用が促進されて、結果的にリンガフランカ英語の使用も促進されることも確認した。 また、2022年度に引き続いて2023年度も当研究の示唆を、他方面に応用することを考案し、日本の学部生の英語自律学習への応用を引き続き試みた。 2023年度は、当科研費研究最終年度として、今までの成果を総括する活動としての著作や学会発表を中心とした。当科研費研究の成果、発展部分は、次の科研費研究課題「多文化クラスにおける複言語主義アプローチの開発(21K00645)」に引き継ぐこととした。
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