研究課題/領域番号 |
18K00794
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
宍戸 真 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (20247084)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工知能 / 音声認識 / 発話練習 / スピーキング / 効果測定 / E-Learning |
研究実績の概要 |
平成30年度は、日本人が話す英語を認識する音声認識と人工知能(AI)による応答を利用した英語発話・会話練習を行うE-Learningシステムの独自の開発が間に合わなかったため、appArray社のご協力の下既成のスマートフォン用アプリSpeakBuddyを利用し、学習実験を実施した。同システムを利用し、大学における正規の講義内で学習活動を行い、その効果を検証した。具体的には、被験者34名にご協力いただき、1年間(4月から翌年1月まで)、学習を行ってもらい、効果測定の試験を2回実施した。被験者に4月の学習開始時と12月の学習終了時にそれぞれスピーキング能力の測定試験OPIcとリスニング、リーディング能力の測定試験TOEIC (L&R)を受験してもらい、スコアを比較した。また、利用開始直後と利用終了時の2回、アンケート調査も実施し、音声認識と人工知能(AI)による応答を利用した英語発話練習に対する感想、意見などを聴取した。 効果の測定に関しては、スコア開発率を利用して、事前、事後のそれぞれの試験の結果を比較した。スコア開発率において、OPIc、TOEICともに平均値での向上は見られなかったが、最高はTOEICが約28%向上、OPIcレベルが約17%上昇した。英語能力に関しては、短期間での著しい向上は期待できなかったが、一方アンケートの結果では、利用者からは肯定的な感想、意見が多く聞かれた。利用した学生の過半数以上がAIを活用した英語発話練習に興味を持ち、このような学習方法を役立つと感じたと回答した。また、英語を話すことへの抵抗がなくなる、間違えても恥ずかしくない、何度も繰り返し練習でき、いつでも練習できることがよいとした回答が大多数を占めた。さらには、AIを活用した学習システムによる英語講義を受講したいと答えたものも半数いた。これらの回答から、本調査の対象学生の過半数以上がAIを活用した英語学習システムに期待していることが読み取れるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自の学習教材、システムの開発は現在作成中であるが、既存の英語発話・会話練習を行うE-Learningシステムを利用し、学習開始時と終了時の効果測定試験は実施できており、このような学習教材の効果について、検証が進んでいる。また、これまでの研究成果について、国際学会2回、国内学会の全国大会で1回の研究発表を行っており、順調に推移しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、日本人が話す英語を認識する音声認識と人工知能(AI)による応答を利用した英語発話・会話練習を行うE-Learningシステムの独自の開発が間に合わなかったが、現在は、サインウェーブ社のご協力の下、独自教材を開発し、利用可能な段階に近づきつつある。英語発話・会話練習を行う学習教材のコンテンツを独自に執筆し、そのコンテンツをサインウェーブ社の持つ音声認識、人工知能による発音判定のシステムを利用して学習できるように作成を行っており、完成後には、実際に大学の講義で利用して、学習活動が実施可能である。また、前年同様に学習の開始時と終了時にそれぞれスピーキング能力の測定試験OPIcとリスニング、リーディング能力の測定試験TOEIC (L&R)を受験してもらい、スコアを比較し、効果を検証する。さらには、アンケート調査も実施し、音声認識と人工知能(AI)による応答を利用した英語発話練習に対する感想、意見などを聴取する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由 平成30年度は、日本人が話す英語を認識する音声認識と人工知能(AI)による応答を利用した英語発話・会話練習を行うE-Learningシステムの独自の開発が間に合わなかったため、既成のスマートフォン用アプリを利用し、学習実験を実施した。このため、教材開発に予定していた費用を次年度に繰り越すこととした。また、効果測定試験の被験者が想定していた人数よりもやや少なかったため、受験費用、被験者謝金分の予算の一部も繰り越すこととした。 使用計画 今年度は、繰り越した費用を含め、当初の予算と合わせ、日本人が話す英語を認識する音声認識と人工知能(AI)による応答を利用した英語発話・会話練習を行うE-Learningシステムの独自の開発のため、サインウェーブ社にその費用を支払う予定である。
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