研究課題/領域番号 |
18K00800
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
石田 卓生 愛知大学, 東亜同文書院大学記念センター, 研究員 (50727873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中国語教育 / 東亜同文書院 / 愛知大学 / 華語萃編 / 東亜同文会 / 中日大辞典 |
研究実績の概要 |
本年度は、今泉潤太郎愛知大学名誉教授主宰『華語萃編』講読会のコーディネイト(2019年4-6月、10-12月、2020年1-2月)を通して『華語萃編』初集・二集を精読して、その総訳を進めつつ、同時に愛知大学創立時期から1960年代までの同校の中国語教育についてのOBへの聞き取りを行った。『華語萃編』は東亜同文書院で編纂、使用され、戦後は元東亜同文書院教員が主体となって進められた愛知大学の中国語教育でも主要な教材として使用されたものである。愛知大学では高度経済成長期に学生数が増加するまでは日中両国の教員がペアとなる授業で使用されていたが、章立て、縦書きから横書き、旧字体から簡化字へと使用時期によって変化しており、それに伴って教授法も時期によって異なっていたことを確認した。 また、以下の研究活動成果を発表した。論文「日清貿易研究所・東亜同文書院の教育と卒業席の軌跡:高橋正二・坂本義孝・大内隆雄を事例として」(藤田佳久編『東亜同文書院卒業生の軌跡』あるむ、2020年3月)、書評・藤谷浩悦著『井上雅二と秀の青春(一八九四-一九〇三)』集広社(『中国21』(51)、2020年1月)、書評・孫安石、大里浩秋編著『中国人留学生と「国家」・「愛国」・「近代」』東方書店(『中国研究月報』73(11)、2019年11月)、翻訳・許雪姫「第3章東亜同文書院の台湾籍学生たち:陳新座・彭盛木・王康緒を事例として」(藤田佳久編『東亜同文書院卒業生の軌跡』あるむ、2020年3月)、講演・「東亜同文書院と上海:愛知大学前史」(東亜同文書院大学記念センター主催、香川県高松市サンポート高松)
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今泉潤太郎愛知大学名誉教授主宰『華語萃編』読書会のコーディネイターを務めたことから、愛知大学初期の中国語教育の実態についてOBから直接状況を聞き取る機会を多く得るなど、予期以上の成果を収めた点はあったが、コロナ禍の影響を被り、本年度末に予定していた国内外での資料調査活動を実施が不可能となり、当初計画の遂行という観点から見ればやや遅延していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
東亜同文書院系教員が主体となっていた時期の愛知大学の中国語教育についてOBへの聞き取りをさらに進めつつ、教員使用テキストに書き込まれている記述をもとに『華語萃編』の愛知大学での具体的な使用方法を明らかにしたい。令和2年度は本研究計画の最終年度であり、東亜同文書院からの影響が強いと想定している愛知大学初期の中国語教育について報告あるいは論文による成果発表と今泉潤太郎愛知大学名誉教授と取り組んでいる『華語萃編』初集総訳の公刊へ向けた活動を進めたい。 国内外での調査活動については、コロナ禍による実施の見通しが立たないことから、予算を資料購入などに適宜組み替えることによって、当初目標の達成を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度中途から広がりをみせたコロナ禍の状況を観察しつつ、当初計画していた国内外での調査活動の実施のタイミングを計っていたが、その際、旅費など必要経費の上昇の可能性や調査活動実施が不可能となった場合の計画内容の見直しも考えて資料購入などの他の予算執行を意図的に留保したために次年度使用が生じた。今年度は、計画最終年度でもあり、コロナ禍によって実施が困難となった計画内容を適宜変更することによって当初目標を達成する。
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