研究課題/領域番号 |
18K00806
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研究機関 | 大阪医科薬科大学 |
研究代表者 |
岩田 聖子 大阪医科薬科大学, 薬学部, 非常勤講師 (80771394)
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研究分担者 |
岩井 千春 大阪公立大学, 高等教育推進機構, 教授 (90411389)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | スペイン / サンティアゴ巡礼地 / インバウンド観光 / 観光言語 / ニーズ分析 / 高野山 |
研究実績の概要 |
2022年度の研究は、前年度までの熊野古道における観光英語に関する研究結果を基に、スペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラ市観光局およびサンティアゴ巡礼地の宿泊施設を対象に実施。観光言語を含むインバウンド観光に関するアンケートや聞き取り調査、コロナ禍の現状について聞き取り調査を行った。調査地は、サンティアゴ・デ・コンポステーラを中心に、東西200キロの範囲で4か所。その結果、観光ビジネス化した巡礼地と古くからのもてなしが続いている巡礼地と、それぞれ言語接遇を含む対応が異なっていた。また、ホストとゲストの新たな関係、ゲストにも旅の責任を持つよう求めた回答もあった。 観光言語に関しては、サンティアゴ・デ・コンポステーラ市観光局は「ほぼどの宿泊施設も対応に問題ない」との回答であった。実際、世界中からやってくる巡礼者や観光者への言語接遇では、サンティアゴ巡礼地の宿の多くは、母国語に加えて英語で対応する。英語学習は、幼少時からあるいは仕事を始めてから語学学校に通ったとの回答であった。それに加えてポルトガル語などのヨーロッパ語などを話し、韓国語ロシア語日本語などは、アプリ翻訳の助けを借りて解決するとの回答であった。興味深い聞き取りとしては、食事提供と目で語りかけることで言語の壁は越えられるというものであった。 コロナ禍の現状に関しては、サンティアゴ・デ・コンポステーラ市観光局、同市内のホテルおよびアルベルゲから宿泊者数のデータを入手し分析。その数字から2022年8月末現在でスペインの巡礼観光客の宿泊客数のV字回復を裏付けた。以上の分析結果を、日本国際観光学会(JAFIT)全国大会にて発表を行った。 ほかに、「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産である高野山で、金剛峰寺、高野山観光情報センター、宿坊での取組みの聞き取りおよび参与観察を行い巡礼地のネットワークに可能性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初からの計画であるスペイン巡礼地での調査を実施し学会で発表をしたが、国内巡礼地におけるインバウンド需要が回復にいたらず国際比較に向けた論文をまとめるまでに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究最終年であること、及び実質的な調査は実施済みであることから、以下の2点に焦点を当てて推進する。
1.海外からの水際対策が緩和し、かつ新型コロナウィルスが5類感染症に移行したことを受け、国内巡礼地、特に本宮温泉郷の女将の方々の外国人宿泊者に英語接遇場面のビデオ撮影およびインタビュー調査を実施する。その分析結果をもとに「効果的な言語接遇」について提案する。 2.スペイン巡礼地での調査を基に、国際比較に関する論文執筆を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文執筆に向けた情報、資料の収集とともに英文校正に当てる予定である。
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