研究課題/領域番号 |
18K00808
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山田 一美 関西学院大学, 理工学部, 教授 (90435305)
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研究分担者 |
木津 弥佳 (田中) ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (00759037)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語学習者 / 日本語母語話者 / 項削除 / 相互代名詞 / 再帰代名詞 / 解釈不可能なΦ素性 / 日本語学習者 |
研究実績の概要 |
【オンラインでのデータ収集準備】ビデオファイルとGoogle Formを併用した方法を検討し、それをふまえパイロット実験を日本人大学生約40名に実施した。このオンライン実験結果が得られたことにより、前年度に実施した対面での実験結果(日本人大学生約30名)と比較することが可能となった。この2種類のデータを統計的に分析し、オンライン実験方法の信頼性について検証する準備を整えた。 【国際学会発表】日本第二言語習得学会(設立20周年記念大会)では、L2英語学習者の解釈が相互代名詞(each other)の省略および再帰代名詞(self)の省略の場合で異なること、それが相互代名詞の統語構造に起因している可能性を報告した。さらに、学習者のデータ結果から、彼らが母語には存在しない解釈不可能なφ素性を習得できることを主張した。 【論文執筆】Journal of Japanese Linguisticsに論文が掲載された。 タイトル:On null arguments and phi-features in second language acquisition 内容:英語を母語とする上級L2日本語学習者と日本語を母語とする上級L2英語学習者による空項の解釈データを比較した。Saito (2007)の項削除に関する主張をもとに、L2英語学習者のみが空項に緩やかな同一性解釈を許容するという仮説を立てて検証した結果、仮説が支持される結果が得られた。よって、学習者は母語に存在しない解釈不可能なφ素性の習得が可能であることが明らかになった。 【国際共同研究の開始】本科研の研究課題と、グラナダ大学のDr. Cristobal LozanoとDr. Nobuo Ignacio Lopez-Sakoの研究課題(束縛現象)は、お互いの研究を補完できることからスペイン語母語話者の実験を共同で進めていくことになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はコロナ禍によりスペインでのデータ収集が叶わなかったため、オンラインでの実験実施について検討した。オンライン用に実験アイテムを新たに作成し、パイロット実験を実施した。その結果をふまえ、次年度のスペイン語母語話者を対象としたオンライン実験実施準備を進めることが可能となっている。
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今後の研究の推進方策 |
スペインのSLAチームからの協力を得て、本年度にコロナ過で実施できなかったスペイン語母語話者を対象とした実験をオンラインで実施する。同時に、これまで収集した日本語を母語とする英語学習者、および英語を母語とする日本語学習者の実験データを分析する。データ結果が第二言語習得理論にどのように貢献しうるのか考察を進め、国際学会での発表にむけて準備に入る。また、これまで国際学会で発表した成果を、ジャーナル論文にまとめる作業も進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、本年度に予定していた海外でのデータ収集がやむなく中止となり、さらに口頭発表が決定していた国際学会もオンライン開催となり、旅費の使用が必要でなくなったため、上記の繰越金額が生じた。今後のコロナ感染状況を注視しつつ、オンライン実験実施に向けて準備を進めながら、英語母語話者によるスペイン語習得の実験データ、ならびに追実験データを海外で収集する可能性を探っていきたい。
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