研究課題/領域番号 |
18K00808
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山田 一美 関西学院大学, 工学部, 教授 (90435305)
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研究分担者 |
木津 弥佳 (田中) ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (00759037)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 英語学習者 / 日本語学習者 / 項削除 / 空目的語 / 再帰代名詞 / 相互代名詞 / φ素性一致 / pro |
研究実績の概要 |
【国際学会発表】 (1) ISB13の発表では、英語母語話者のL2日本語学習者による、先行詞が相互代名詞である空項の解釈を検証した。19名の初級から中級レベルのL1英語-L2日本語学習者、および6名の日本語母語話者に真偽値判断タスクを実施した結果、L2学習者と統制群の日本語母語話者の緩やかな同一性解釈を許容する判断に、統計的に差異がないことが明らかになったが(p=.408)、追跡実験の結果は、L2学習者が文脈に依存して代名詞として解釈していることを示した。本研究の結果は、彼らがL1素性を保持し続けていることを示唆している。 (2) JSLS2021の発表では、日本語母語話者の英語学習者が、目標言語の文法で空目的語を許容する場合、文脈において空要素をどのように解釈するのかを検証した。本研究では、46名の日本語母語話者(初級15名、中級下12名、中級19名)の英語学習者を対象に真偽値判断タスクを実施した。本研究の結果は、先行研究において項削除の下で同じように分析されていた再帰代名詞と相互代名詞が、中間言語では、とりわけ初級グループではとらえ方が異なっていること、さらに、L2学習者が項削除を持たないL1英語の文法にある程度近づいていることを示唆した。この結果から、本研究では初級レベルでは空目的語は項削除であり、それ以降のレベルでは項削除あるいはproであることを主張した。 【データ収集準備】 スペイン語母語話者の日本語学習者からデータを収集するための実験準備を進めた。会話文をスペイン語に訳す作業、およびスペイン語母語話者による会話文録音作業を実施し、グラナダ大学のDr. Cristobal LozanoとDr. Nobuo Ignacio Lopez-Sakoと共同で実験アイテムの作成作業を進めた。 【論文執筆】 JSLS2021の発表内容がプロシーディングスに掲載され、2020年度のJ-SLAでの発表内容がLanguage and Cultureに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、実験アイテム作成のための会話文の録音作業等の協力者を得ることや実際の作業実施に、当初の予定より時間を要した。しかし、スペインの大学における実験への参加協力者の確保については、Dr. Cristobal LozanoとDr. Nobuo Ignacio Lopez-Sakoに依頼済である。
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今後の研究の推進方策 |
スペイン語母語話者を対象としたオンラインでの実験を実施し、結果を国際学会で発表する準備を進める。同時に、ISB13での口頭発表の内容を論文にまとめ、ジャーナルに投稿することを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、国際学会の開催が主にオンラインでの開催となり、口頭発表をしたポーランドでの学会(ISB13)もオンラインとなったため、旅費が発生しなかった。次年度はコロナの感染状況を注視しつつ、可能であれば追実験実施のための旅費や、国際学会参加のための旅費、実験関連の謝金として使用する計画である。
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