研究課題/領域番号 |
18K00811
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
岩田 好司 久留米大学, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (50309746)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 協同学習 / 教育ファシリテーション / アクティブ・ラーニング / プロセスワーク / 教員養成 / 外国語教育 |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は、プロセスワーク(プロセス指向心理学)を応用することによって、現行の協同学習ワークショップを改善し、受講者たる教職員が教育ファシリテーターとして成長できる研修プログラムを構築することである。 初年度である今年度はまず、論文『協同学習と葛藤ファシリテーション:プロセスワークの援用』において、プロセスワークのキーコンセプトを用いながら教育ファシリテーションへの応用の可能性を探ると同時に、協同学習場面への具体的導入を考察した。プロセスワークは全体性を希求するアプローチであり、協同教育をホリスティック教育へと橋渡しするであろうことが示唆された。 次に、プロセスワークを取り入れた協同学習ワークショップを2つ実施した。1つめのワークショップでは、授業実践において協同を促進(ファシリテート)するために、①シグナル(手がかり) ②エッジ(成長ポイント) ③ランク(力の上下関係) ④ロール(役割、観点)などへの自覚を高めることが有用であると考え、ワークショップ中に、ファシリテーターである申請者がどのようにファシリテートしているかを伝えることによって、参加者の自覚を高めようと試みた。2つめのワークショップは上記論文『協同学習と葛藤ファシリテーション』において考察した成果を実際のワークショップとして構築したものである。教室内での微細な葛藤をランクやシグナルへの気づきを高めることによって解決できるようになることを目標とした。このワークショップは国際学会で各国の教員を対象としたワークショップであり、学習者間の力の格差が学級内で引き起こす諸問題解決への新たなアプローチを提供したものとして国際的に認知された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標としていた以下の計画が実施できた。①協同学習理論とプロセスワーク理論のすり合わせを行う理論的研究。②プロセスワークを応用した仮ワークショップを2つ構築し、日本協同教育学会、国際協同教育学会にて実施。③海外調査を1回実施。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は教師の自覚面での成長を促すワークショッププログラムを引き続き仮構築し、実施し、データ収集を行う。データをグラウンデッド・セオリー・アプローチによって質的に分析し、ワークショップ参加者である教師が協同教育ファシリテーターとしてどのようなプロセスをたどって自覚を高め、成長したかを明らかにし、ワークショップの改善につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ収集と分析に用いるパソコンとビデオカメラ一式の購入をインタビュー調査等を本格化する次年度に延期した。また、予定していた海外調査対象であるワークショップが今年度開催されなかった。 したがって、次年度にパソコンとビデオカメラの購入を行い、予定の海外調査も行う。
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