研究課題/領域番号 |
18K00817
|
研究機関 | 石川工業高等専門学校 |
研究代表者 |
川畠 嘉美 石川工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (70581172)
|
研究分担者 |
藤井 数馬 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (50413779)
青山 晶子 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (40231790)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 認知類型 / 用法基盤モデル / 移動表現 / 第二言語/外国語習得 / 認知言語学 / 英語多読多聴 / スキーマ化 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本のように授業以外での第二言語インプット量が極端に乏しい環境において、母語(日本語)と第二言語(英語)の認知類型の差異が、ボトムアップ式スキーマ形成を想定する「用法基盤モデル(Usage-Based Model)」の機能に与える影響を明らかにし、認知類型の差異をふまえたトップダウン型文法知識の適切な提示時期、提示順、提示法を分析・開発することである。 令和3年度は、前年度(令和2年度)までの調査研究により、日本語と英語の認知類型の差異がスキーマ形成に大きく関与する可能性が特に顕著に示された「移動表現」に焦点を絞り、人や動物、物の移動を伴う動画を用いた調査(日英各語による言語化)で得られた200余名分の言語データをもとに移動経路の明示性をふまえた、より詳細な分析・考察を行った。 これらの研究を通して、移動経路の明示性が高い(=認知客体の移動と経路が明確である)ほど日英のアウトプット表現は似通う傾向にあり、移動経路の明示性が低い(=認知主体による経路把握の要素が強い)ほど英文化、特に前置詞の使用に困難が伴うことが観察された。 この結果から、移動表現に関し、多読のようなインプット量の増加だけでは補い切れない認知類型の差異を埋めるためには、移動経路を前置詞で表す「衛星枠付け型」のスキーマ提示とともに、認知主体による経路把握及びその経路を意識化させ適切な前置詞に結びつけるトレーニング的な要素を含む教材開発が効果的であるとの結論に至った。
|