研究課題/領域番号 |
18K00821
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
志柿 光浩 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60215960)
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研究分担者 |
三宅 禎子 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30305271)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スペイン語 / スピーキング能力 / 評価 / 外国語教育 / 実行可能性 |
研究実績の概要 |
本研究は、大学一般教育課程の一環として実施されているスペイン語教育カリキュラムにおいて Spoken Interaction および Spoken Production の領域にお ける運用能力評価を実 施していくにあたって、妥当性(validity)・信頼性(reliability)・有益な波及効果 (beneficial backwash)を確保しつつ、現場の厳しい 教育環境の中でも恒常的にそのような評価が可能となるレベルの実行可能性(feasibility)を実現するにはどのような設定が必要か明らかにすることを目的とし ている。 スピーキング評価を行うこと自体に有益な波及効果がある一方で、実際の教育現場では、パフォーマンス・テストの実施・評定・評価結果のフィードバックを 短期間に完了し、 かつこれを学期途中と学期末など定期的に行うには、個々の学習者に対するテスト時間を各 5分間程度の限られた時間内に抑える必要があ る。 2019年度も、前年度から継続して、母語話者授業補助者とのスペイン語でのやりとり課題、質問ビデオへの応答課題などについて学生のスペイン語でのスピーキ ング・パフォーマンスをビデオ収録、評価し、形成的評価および達成度評価に用いる実践研究を実施した。 具体的には、大学1年次:1回90分、週2回、30週間 到 達目標:CEFR A1 30名程度 2グループ、大学2年次:1回90分、週1回、30週間 到達目標:CEFR A2 30名程度 1グループ、大学2年次以上の希望者:1回90分、週1 回、30週間 到達目標:CEFR A2~B2 10名程度 2グループで実施したスペイン語クラスにおいて、各年間計4回のスピ ーキング・テストを実施した。その結果を集計し、統計的処理手法の検討を行ってきたところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年も、前年度から継続して、母語話者授業補助者とのスペイン語でのやりとり課題、質問ビデオへの応答課題などについて学生のスペイン語でのスピーキ ング・パフォーマンスをビデオ収録、評価し、形成的評価および達成度評価に用いる実践研究を実施した。 具体的には、大学1年次:1回90分、週2回、 30週間 到達目標:CEFR A1 30名程度 2グループ、大学2年次:1回90分、週1回、30週間 到達目標:CEFR A2 30名程度 1グループ、大学2年次以上の希望者:1回90 分、週1回、30週間 到達目標:CEFR A2~B2 10名程度 2グループで実施したスペイン語クラスにおいて、各年間計4回のスピ ーキング・テストを実施した。2019年度は蓄積してきたデータの集計を行い、統計的処理方法の検討を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究の主たる研究課題である、テスト法の違い(面接テストと課題ビデオへの応答テスト)、テスト内容の違い、評定尺度の違い、評定者数などの変 数について、十分な測定時間を確保して実施する妥当性比較検証用のテストおよびスペイン語標準検定試験 DELE あるいは SIELE を用いた基準関連妥当性の検証、再テスト法などを用いた信頼性の検証を条件を変えながら試行・評価するサイクルを残る2年間の研究期間の中で繰り返し、実行可能性を規定する条件と妥当性・信頼性の関係について明らかにしていく。 なお、前年度まで実践研究に使用していた教育環境(MacBook 50台がネットワークで結ばれた教室環境)が廃止されたのみならず、新型コロナウィルスの蔓延に伴い、年度中当面は遠隔授業形式での教育を行わざるを得ない状況となった。オンライン環境でスピーキング能力の訓練を行い、その評価を行うという新たな条件のもとで、上記のような内容の実践研究をどのように行えばよいか、適切な実践研究を実施していくための方策を検討していく。 またこの機会をとらえ、オンラインベースの環境でスピーキング能力の訓練とその評価を行う際の条件の変化に特に留意し、対面授業形式とオンライン形式での差異についても本研究の中に位置付け新たに実践・考察を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度支給予定額が研究計画書記載の所要予定額よりも大きく減額されているため、前年度および今年度に実施してきた規模の研究実施態勢を維持することができないことが予想されていたことから、この2年間にわたって助成金の使用を抑制してきた経緯がある。次年度使用額と本来の支給額とを合わせると、次年度も今年度までの研究実施態勢の維持が可能となるため、継続的に研究を遂行する。このことによって次年度は翌年度使用額が生じない形ので運用が見込まれる。
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