研究課題/領域番号 |
18K00821
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
志柿 光浩 東北大学, 国際文化研究科, 名誉教授 (60215960)
|
研究分担者 |
三宅 禎子 岩手県立大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30305271)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | スペイン語教育 / 言語教育 / 口頭コミュニケーション / パフォーマンス評価 / 評者間信頼性 / テストの実施可能性 / 教育への投資 / 母語話者教育補助者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、効果的な教育環境であっても、大学の一般教育プログラムの一環として提供されるスペイン語教育カリキュラム内でのスペイン語による「口頭でのやりとり」と「口頭での産出」に関する実際の評価を行う際の有効性、信頼性、良好な波及効果を確保しつつ、その実施可能性を明らかにすることであった。助成金を用いて、母国語話者の教育アシスタントが雇用された。また、大学の教育アシスタントプログラムと合わせて、各授業回に2人のアシスタントが割り当てられ、口頭コミュニケーション能力の指導と評価をサポートした。本研究の主な焦点は、複数の母国語話者教育アシスタントによって行われた様々なパフォーマンス評価に対する評価者間信頼性のテスト結果を提示することに置かれた。 本研究の結果、口頭コミュニケーション能力のパフォーマンス評価において、妥当性と有益な波及効果をかなりの程度で確保できることが示された。評価が学習プログラムの目標に沿って行われることで、学生は目標に合わせた学習活動を行う傾向がある。しかし、信頼性と実行可能性の間には相反関係が存在し、特にCOVID-19のパンデミックのような外的要因が介入すると、評価の信頼性が低下する可能性がある。評価を行う際には、評者間での事前の調整が信頼性を高めるために重要であるが、時間的制約によりその実施が難しい場合もある。周知のとおり一人の評価者のみによる評価はリスクが伴うため、目標言語の母語話者である教師でも、複数の評価者を確保することが推奨される。本研究では、複数の母語話者教育アシスタントを各授業に配置することが、評価の信頼性を高める有効な手段となることが示されたが、このようなシステムを維持するためには、学内外からの資金提供が不可欠である。その意味で外国語教育のための財政支援を強化することが、日本の大学における重要な課題の一つであることが改めて確認された。
|