研究課題/領域番号 |
18K00828
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
荒尾 浩子 三重大学, 教育学部, 教授 (90378282)
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研究分担者 |
木村 麻衣子 武庫川女子大学短期大学部, 共通教育科, 准教授 (30290414)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 英語文字導入 / 単語認識 / 識字指導 |
研究実績の概要 |
単語発達認識モデルの識字能力習得のプロセスを日本の教育現場の文字導入の方法と照合しつつ、指導の効率性を理論的裏付ける研究を継続的に行った。教育現場では、現在、文字と音声の結合に注視しがちで、文字の形と意味をリンクさせ認識することが高い識字能力への導入である意識が低いことが判明した。 モノの意味をイメージし、体の動きを活用して認識するSnapWordsをはじめとするビジュアルラーニングが英語圏以外にも、英語を外国語としても学習するヨーロッパ圏の外国語識字指導に多用されていることがわかってきた。視察、聞き取りをしたNZの小学校では、母語である英語の単語学習は低学年に限らず中学年になっても実施されている。それらは教室内の掲示物に顕著に表れ、ホールランゲージアプローチを意識した意味と単語が常に一体化した視覚刺激に訴えるよう工夫が凝らされている。 ヨーロッパの非英語圏においては、フォニックス指導は低学年で特に力を入れているが、物理的な文字による環境づくりは、語彙力を増強するために文字導入の時期だけでなく継続的に実施し高い効果があり、言語習得や発達科学の理論で裏付けられていることがわかった。 単語のロゴグラフィックイメージをインプットとする方法をさらに開発するため、SnapWordsを応用した教材作成の取り組みを開始した。子どもの単語認識のプロセスにおいて、単語を形成しているイメージと意味の結びつきの重要性を強調する「イメージを見てとるカルタ的なカード教材」などを試験的に作成し使用した。テスト回数がまだ十分でないが、音声と文字を結合させた後に、モノの意味をイメージで見て、文字と結びつけることが子どもにとって認知的な負担がかかることが作業時間によりわかった。一時的には効率性が低い指導になるが、経過観察により記憶を強化し真に「読む」ための識字能力を向上させることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究結果や成果を具現化することに時間がかかっている。作成した教材のテストがまだ十分に実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
英語圏に限らず他の英語を外国語として学習している国の英語教育の実践例をさらに研究し視覚的な文字導入の識字効果を提案するのに十分なエビデンスを集め、その示唆から日本の指導法への活用方法の研究を深めていく。教材を複数作成し、それぞれテストし修正を加えながら完成度を高める。それを用いた指導方法を確立し提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査結果のデータ処理や教材開発がやや遅れ、次年度にそれらを行う必要が出た。次年度にそれらを行い、11月に予定されている英語教育系の学会で研究成果を発表する計画である。
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