研究課題/領域番号 |
18K00846
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
鍋井 理沙 東海大学, 高輪教養教育センター, 講師 (00759194)
|
研究分担者 |
原田 康也 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (80189711)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | employability / accented English / comprehensibility |
研究実績の概要 |
1 データ収集:日本人大学生が話す英語のEmployabilityを調査するために、日本人大学生の発話を収録し、ビジネスパーソンに提示して employability についての主観評価を収集する予定であったが、前提として、 先行研究で使用している(発話の)スクリプトがそのままで利用できるかどうかを検討することとした。Dictoglossという英語の4技能を使うタスクを使って 対象とする日本人大学生の英語産出力及びコミュニケーション能力に関するデータを収集して学生の英語能力を測った。鍋井理沙(研究代表者)が担当するクラス31人から計4回分のDictoglossのデータを回収した。これらの学生は大学入学時の偏差値が約50程度(TOEIC300~350)であるため、彼らの英語産出能力を基に日本人大学生の平均的な英語力を想定し、Employability を測るための音声サンプルを今後制作していくための基準となる。 2 データ分析:東海大学で収集した上記の学生が産出した英語(スピーキングとライティング)を原田康也(研究分担者)と分析したところ、彼らの英語産出能力が低いため、先行研究で使われている疑似面接の応答は使えないことが判明した。 3. 企業関係者へのヒアリング:学生の英語力の調査と並行してGoogle formを通じて企業関係者等に日本人大学生に求める英語力などに関するアンケートを実施した。 4.研究経過の報告と研究討議と情報収集: 上記のDictoglossの研究の経過と結果及び学生の英語のEmployabilityに関する企業関係者等へのアンケート結果は以下の学会・研究会で発表した。国内学会では全国語学教育学会・日本英語教育学会・日本ビジネスコミュニケーション学会・電子情報通信学会思考と言語研究会。海外ではEuroSLA (European Second Language Association) ・Asia TEFL International Conferenceなど応用言語学・心理言語学関連の学会で発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学生が産出する英語のEmployabilityを測る手段として、先行研究では学生と企業の面接官との採用面接時の会話を想定した疑似面接の応答を想定したスクリプトを作成し、学生に読ませたものを被験者に聞かせている。当初は先行研究で使用されている採用面接時の会話を想定した疑似面接の応答を想定した台本を本研究でも使用する予定であったが、平均的な日本人大学生の英語産出力ではこのレベルに達していないことが判明し、まずこの台本を作成する必要が生じたため。被雇用者の産出する英語が雇用側にどのように判断されるのか、そのEmployabilityを調査した先行研究は主に英語が母語の国(米・英国)で移民や移民二世が話す英語を対象にしている実験が多く、使われている語彙や語句はほぼネイティブレベルである。このため、日常の生活で英語を使うことが非常に少ない日本人学生が話す英語としては不自然かつ難易度が高いと判断した。 また、被験者の応募に関して実際に仕事で英語を使用しているビジネスパーソンは多忙のため、アポイントメントがなかなか取れないことに加え、彼らの仕事の都合によるインタビュー日時の変更やキャンセルが多々あった。これらの問題に関しては、疑似面接の台本は現在作成が進んでいるほかビジネスパーソンとのアポイントメントも以前より広く応募をかけることでインタビューの数も増えている。
|
今後の研究の推進方策 |
疑似面接の応答を想定した台本の作成と英語能力の異なる日本人大学生の音声サンプル(この台本を読み上げたもの)を7月ごろまでに準備し終え、企業で英語を使用した経験のあるビジネスパーソン(被験者)にEmployabilityの判定を依頼する。これと並行し、ビジネスパーソンへの個別インタビューで企業が考える「仕事で必要な英語」について調査し、企業側から見た総合的な観点から日本人大学生の英語産出能力を測定する。研究会・学会等での研究計画の経過報告については、実質的な意見交換にはポスター発表を活用し、発表を継続的に行いつつ、国内・海外での国際的な研究集会でも研究発表を行う。2019年7月には日本ビジネスコミュニケーション学会で本研究の経過について発表する予定であるほか、8-9月に実施される国際的な音声学会(New Sounds)でも発表申し込みが採択されている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初は先行研究で使用されている、採用面接時の会話を想定した疑似面接の応答を想定した台本を本研究でも使用する予定であったが、平均的な日本人大学生の英語産出力ではこのレベルに達していないことが判明し、まずこの台本を作成する必要が生じたため。被雇用者の産出する英語が雇用側にどのように判断されるのか、そのEmployabilityを調査した先行研究は主に英語が母語の国(米・英国)で移民や移民二世が話す英語を対象にしている実験が多く、使われている語彙や語句はほぼネイティブレベルである。このため、日常の生活で英語を使うことが非常に少ない日本人学生が話す英語としては不自然かつ難易度が高いと判断した。 また、被験者の応募に関して実際に仕事で英語を使用しているビジネスパーソンは多忙のため、アポイントメントがなかなか取れないことに加え、彼らの仕事の都合によるインタビュー日時の変更やキャンセルが多々あった。これらの問題に関しては、疑似面接の台本は現在作成が進んでいるほかビジネスパーソンとのアポイントメントも以前より広く応募をかけることでインタビューの数も増えている。上記に挙げた理由から、1)実験に使う日本人大学生の発話サンプルの録音協力者への謝金、2)ビジネスパーソンへの謝金、3)発話サンプルの収集やビジネスパーソンのンタビューの書き起こしに必要な人員(作業アシスタント)への作業料金の支払いが次年度に繰り越された.
|