研究課題/領域番号 |
18K00853
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
伊佐地 恒久 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (20586482)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 批判的思考力 / 批判的思考態度 / 英文読解ストラテジー / 深い英文読解力 |
研究実績の概要 |
本年度の研究は、EFL学習者の論理的思考を中心とした批判的思考力及び批判的思考態度と説明文の深い内容理解度及び読解ストラテジーの認識の関係を調べた。調査対象は、私立大学生87名であった。 以下にわかったことをまとめる。重回帰分析の結果、筆記再生得点は、深い内容理解度を予測したが、批判的思考力と批判的思考態度は予測しなかった。また、批判的思考力は英文の深い内容理解度と弱い相関を示したが、批判的思考態度は有意な相関を示さなかった。これらの結果から、批判的思考力及び批判的思考態度と英文の深い内容理解度には有意な関係は認められなかった。しかし、批判的思考力と深い英文理解の間に弱い相関が認められたので、参加者の英語熟達度に対して易しい英文を用いれば、批判的思考力と深い内容理解の間に有意な関係が認められるかもしれない。次に、参加者を筆記再生課題得点により上位群下位群に分け、読解ストラテジーの認識の質問紙の各項目の評定値を、批判的思考力及び批判的思考態度上位群と下位群間で比較した。その結果、批判的思考力の高低によって有意で意味のある違いが認められた項目はなかった。一方、筆記再生課題上位群のなかで、批判的思考態度上位群の参加者は下位群の参加者よりも、メタ認知的な読解ストラテジーの認識を表す項目の得点が有意に高かった。また、筆記再生課題下位群では、批判的思考態度上位群の参加者は下位群の参加者よりも、内容理解の補助となるストラテジーへの認識を示す項目の得点が有意に高かった。これらの結果から、英文読解ストラテジーの認識は、学習者の批判的思考力とは関係ないが、読解力の高低にかかわらず批判的思考態度とは関係があると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
学内において管理的な校務を務めているため、研究に充てる時間が減少している。研修日等を利用して、研究課題の達成に向けて努めていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究で扱っていない批判的思考力と英文読解力の関係を調べる。読解ストラテジーのなかでもクリティカル・リーディングと直接関係が深いものを調べたい。これまでの研究成果をもとに、英語リーディング指導における批判的思考力の養成についても、授業プランの検討を始めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定のセミナーが中止となり、参加費と旅費を支出しなかったため。
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