研究課題/領域番号 |
18K00853
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研究機関 | 岐阜聖徳学園大学 |
研究代表者 |
伊佐地 恒久 岐阜聖徳学園大学, 外国語学部, 教授 (20586482)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 批判的思考力 / 英語熟達度 / 批判的思考態度 |
研究実績の概要 |
本年度は、EFL学習者の批判的思考力【久原・井上・波多野(1983)】、批判的思考態度【平山・楠見(2004)】、批判的読解スキル【井上(2007)】。論理的思考力【意見文の評価】と英語熟達度【TOEICスコア】の関係、及びこれら4要素間の関係を調べた。主な結果として、第一に意見文の型【(1) 意見:「私は~に賛成・反対である。」→ (2) 理由:理由1とその説明や具体例→理由2とその説明や具体例 → (3) 想定される自分と反対の立場の意見とそれへの対応や再反論:「確かに~という意見もあるが、しかし~」 → (4) まとめ:「以上により、~。」】に沿って論理的に筋道立てて思考する力は、EFL学習者の英語熟達度と一定の関係があること、第二に、批判的思考態度は、非形式的な推論能力とは関係はないが、意見文の型に沿って論理的に筋道立てて思考する力と関係があることがわかった。これらの結果から、意見文のパラグラフ・ライティング及びエッセイ・ライティングの指導は、論理的思考力と英語熟達度の両方の向上及び批判的思考態度の育成につながることが期待できるといえる。 また、実践研究として、三森(2013)による批判的思考力の育成を目指した言語技術教育を行い、その効果を、批判的思考力のうち非形式的な推論能力に焦点を置いた論理的思考力及び批判的思考態度において調べた。その結果、批判的思考力の有意な向上が見られた。一方、本実践の批判的思考態度への効果について明確な結果は得られなかった。自由記述式アンケートの結果から、学生は授業で担当学生の発表を聞いて内容を理解し、課題に取り組み、筆者の添削と指導を受けながら、パラグラフ中心の文章構造に沿って自分の考えを文章にまとめる方法を身につけていったようである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
「研究実績の概要」欄に記述した実証研究と実践研究を実施することができた。しかし、英語授業におけるクリティカル・リーディングの指導が英語学習者の深い読みと批判的思考力の育成にに及ぼす効果を調べる実践研究は実施できておらず、研究は当初の計画より「ややや遅れている」と判断される。
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今後の研究の推進方策 |
英語リーディングとライティングを統合的に指導する授業において批判的思考力の育成を目指した取り組みを実践し、その効果を調べる予定である。その結果を踏まえて、英語教育におけるクリティカル・リーディングの指導による批判的思考力の育成に対して提言をまとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ感染拡大のために、参加を計画していたセミナーが中止となったり、学会がオンライン開催となったりしたため、参加費や旅費の支出が少なかった。次年度はこれらのセミナーや学会に現地で参加し、研究を深めたい。また、コロナ禍で研究協力者を依頼することができなくなり、他の研究手法に変更したため、人件費・謝金の支出がなくなった。
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