研究課題/領域番号 |
18K00861
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研究機関 | 木更津工業高等専門学校 |
研究代表者 |
柴田 育子 木更津工業高等専門学校, 人文学系, 教授 (90300540)
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研究分担者 |
BOND L・G 関東学院大学, 建築・環境学部, 教授 (30288691)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ドイツ語新聞 / PASCH / 学習者ネットワーク / 生涯学習 / CEFR A1/A2 / ライティング・ワークショップ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、国際的なドイツ語学習者ネットワークPASCH-Global(http://blog.pasch-net.de/pasch-global/)と連携したドイツ語新聞(JAPAN HEUTE)制作を通じて、「CEFR A1/A2レベルの日本語を母語とするドイツ語学習者」のドイツ語表現力を向上させることである。研究目的の達成のため、以下の3点に重点を置いている。①在日ドイツ企業訪問(4社/年)やプロジェクト授業(4回/年)でのドイツ語のプレゼンテーション=「話すこと」を、新聞記事執筆=「書くこと」へとつなげる「書くことを目的とした話すこと」という表現力向上プログラムの開発。②PASCH-net(http://www.pasch-net.de/de/index.html)のMoodleを活用して年間2回の国際プロジェクトを実施し、中期的なドイツ語表現力向上プログラムを開発すること。③在学時にドイツ語新聞制作に関わった卒業生を対象とする「同窓生ネットワーク」を構築し、ドイツ語の生涯学習を可能とするオンラインルームの開発と実用化。 2018年度には、いずれの重点項目においても計画通りに研究を進めることができた。ただし、③については、在学中から使用している「学習者ネットワーク」を卒業後の「同窓生ネットワーク」へと発展させることは十分にできているが、在学中にCEFR A2~C1まで到達したドイツ語のレベルを維持できている同窓生が少ない、という問題点が浮かび上がってきた。生涯学習としてのドイツ語学習を可能とする「コミュニティ・ドイツ語」の場を作り上げることについては、なお改善の余地がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)筆記力向上のためのワークショップを、定期的に開催することができた(年間4回)。 (2)オーストリア・セルビアとの国際プロジェクトを進めることができた(オーストリアとのプロジェクトは新規)。 (3)ドイツ語新聞を年3回発行することができた。 (4)PASCH-netと協働し、新聞記事をWeb上(PASCH-Global)に公開することができた。 (5)在日ドイツ大使館およびドイツ企業訪問に参加し、ドイツ語学習の実践的機会を学習者に提供することができた。またこの訪問において、ドイツ語のプレゼンテーション=「話すこと」を、新聞記事執筆=「書くこと」へとつなげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究について、以下の3点に重点を置いて進める。1.筆記力向上のためのワークショップを定期的に開催する(年間4回開催予定)。2.国際ワークショップを継続して開催する(2019年度は、オーストリアとセルビアとのワークショップを実施予定)。3.「同窓生ネットワーク」の構築と改善。 1.ワークショップについては、CEFR A1/A2対象者に対して、elfchenやHaikuといった短文を中心とする取り組みやすいものから、800~1000字程度の長い文章を書く比較的難易度の高いものまで、多様な取り組みを行う。また、ここでの試みを、研究協力者との協働のもとアカデミックライティングへとレベルアップしていくプログラムを作り上げていきたい。 同窓会ネットワークについては、昨年度、木更津高専がドイツとの交流プログラムであるPASCHプログラムに加盟後10周年という記念の年を迎え、同窓生と2回にわたって会合をもち、そこに参加した30名以上の「PASCHプログラム参加者」から、現在のドイツ語学習の状況について聴き取りをおこなうことができた。その際にも、ネットワークを使って会合について通知したため、「同窓会ネットワーク」はすでに構築できていると言える。ただ問題点として浮かび上がったのは、在学中にCEFR A2~C1まで到達したドイツ語のレベルを維持できている同窓生が少ないことであった。つまり、同窓生のネットワークが構築できていると言えども、それがドイツ語学習者のコミュニティネットワークまでは至っていないということである。今後、この問題点について考え、打開策を見つけ、コミュニティ・ドイツ語の場を作り上げていくことを課題としたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
欧州での研究調査のため、外国出張旅費として使用予定であった渡航費について、勤務先から出張旅費として提供があったため、今年度は使用しなかった。国際共同ワークショップの開催についても、海外開催の予定であったもの、2019年3月に日本で開催したため、使用しなかった。そのため、次年度使用額が生じた。
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