研究課題/領域番号 |
18K00864
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
マスワナ 紗矢子 目白大学, 外国語学部, 准教授 (60608933)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 学術目的の英語 / ライティング / ジャンル |
研究実績の概要 |
2019年度は、EAPジャンルとして学術論文と発表要旨のみならず、EAPジャンルの入り口とも考えられる大学のエッセイ(学生のエッセイおよび教科書のモデルエッセイ)、そして近年理系の大学院で比較的多く採用されている修士論文の英文要旨についても分析対象に含めた。2020年度に予定しているEAPジャンルの体系的・理論的整理に向けて、修辞構造と語彙・表現に焦点をあてて分析を進めた。一方で、EAPジャンルの共通項をより明確にするため、EGPライティングのテクスト(高校生の自由英作文)を比較分析に用いた。EGPとEAPジャンルの比較においては、修辞構造や語彙だけでなく、人称代名詞、ヘッジ(垣根表現)、文献資料の使い方なども分析項目に含めた。これらの結果を踏まえて教材調査を行った上で、特にジャンル間の円滑な移行を意識したアカデミックライティングのタスクおよび教科書を作成した。専門分野ではICT分野を取り上げ、当該分野の学術論文において執筆が困難とされるディスカッションセクションについて、以前使用した枠組みとは異なるディスカッションに特化したPeacock(2002)のムーブモデルを参照した。結果から、中心となるムーブのパターンが抽出され、社会的示唆に言及するムーブが必須であることが明らかになったものの、当該モデルが応用できない論文も存在した。分析結果についてICT分野の専門家に聞き取りをしながら、学際分野の修辞構造についてさらなる考察を加えた。以上の研究成果を国内外の学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度は、前年度の聞き取り調査に基づいて収集したEAPジャンルテクストの分析を予定していたが、関連するジャンル分析およびタスクと教科書作成がほぼ終了しており、おおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、前年度までに行ったEAPジャンル分析結果をジャンル間の共通項を軸に連続性の観点から整理して理論的考察を行い、モデル化および可視化方法を検討する。また、日本の高等教育の文脈で分析結果を解釈し、体系的なライティング教育内容を提案する。2019年度に作成したタスクおよび教科書については英語教員からフィードバックを得て改良を行うほか、具体的な指導方法についても考案する。最終年度となるため、プロジェクトを通して得た研究成果を国内外の学会や学術誌などを通して広く発信する。
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