前年度に開発したジャンル間の円滑な移行を目指したライティング教材について、英語教員からのフィードバックを受けて効果の検証を行った。また、タスク開発および評価の際に参照できるEAPジャンルのライティング指標プロトタイプを開発し発表した。対象ジャンルは、論文や学会発表に含まれる要旨とし、既存のCan-do記述文、ライティング指標、そして当該ジャンルの先行研究から関連項目を抽出後、EAP教員への聞き取り調査を行った。その結果、一般的な英語の知識と技能、一般学術英語の知識と技能、ジャンルの知識、専門分野の慣習、という4つのカテゴリーからなるディスクリプターを記述した。段階的で体系的なEAPジャンルのライティング学習を可能にするため、到達可能な一般英語能力、分野やジャンルに共通する英語知識、協働作業への知見なども項目に含んでいる。当該ジャンルに特有のムーブ知識、専門分野における研究の位置づけや批判的思考能力などから成る複合的なコンピテンシーが明らかになり、習得すべき項目の可視化が可能となった。さらに、EAP教員に必要なスキルや支援資料についての研究を参照して、文脈を考慮したEAPライティングタスクの検討を行った。特に同一ジャンル内での段階性に焦点をあてて、ライティング指標に基づいたルーブリックを作成した。今までに本研究で扱った様々なジャンルの共通項に注目した理論的枠組みの整理およびルーブリックを用いたタスク開発の提言を行った。
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