研究課題/領域番号 |
18K00865
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研究機関 | 上越教育大学 |
研究代表者 |
野地 美幸 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (40251863)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 第二言語英語 / 長距離wh移動 / 複合wh疑問文 / 機能範疇C / 日本人英語学習者 / 部分的wh移動 / wh複写 |
研究実績の概要 |
日本人学習者は第二言語 (L2) 英語の(機能範疇Cが関与する)複合wh疑問文を習得する際に、What do you think what present he likes best?のような部分的wh移動と言われる現象を示すことが報告されている。この現象は、母語にも目標言語である英語にも存在しないがドイツ語の方言で許容されていることから、L2が普遍文法 (universal grammar) によって制限されている可能性を示唆するものとして取り沙汰されている。 本研究は、初年度(2018年度)の試みとして、日本人英語学習者が部分的wh移動と並んで(ドイツ語で許容されるもう一つの)wh複写 (wh-copying) という現象を示すかどうかを調べた。誘導発話タスクを用いた実験を実施し、産出資料を分析した結果、少数ではあるが部分的wh移動とwh複写という日本語にも英語にも見られない逸脱が観察された。また、この逸脱は自然言語の可能な選択肢の範囲内に収まるものであることを示唆するものであることが明らかになった。この研究成果は、野地 (2019).「日本人学習者による英語の長距離wh移動の習得:部分的wh移動とwh複写に焦点を当てて」『上越教育大学研究紀要』39巻1号として発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究成果は結果的に論文として発表する目途が立ち順調であった。一方、次年度(2019年度)に向けて行った予備実験には一部課題も見つかり、実験のデザインを再検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、日本人英語学習者の複合wh疑問文の習得について実験を継続し、第二言語における機能範疇Cの習得時にどのようなことが起こるのかを明らかにする予定である。また、昨日範疇Tの習得に関しては、中島基樹氏を新たに研究分担者に加え、予備実験で明らかになった問題を克服し、本研究を一層充実させることができるよう取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費として計上していた10万について所属大学の個人研究費から支払いが可能となったことから次年度使用可能な形で残った。残った分については物品費(研究関連図書の購入)等で使用する予定である。
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