研究課題/領域番号 |
18K00868
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
吉田 晴世 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40210710)
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研究分担者 |
加賀田 哲也 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40278578)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 反転授業 / CAN-DO リスト |
研究実績の概要 |
本研究は、近年注目されている「反転授業」をもとに、英語入門期の生徒におけるスピーキング能力の向上とその評価基準のためのCAN-DOリスト構築を目指すものである。 国際化への動向を踏まえて、英語のスピーキング力育成への社会的関心が高まってきている。学校英語教育においても発信する力が強調されるようになってきている。しかしながら、英語スピーキング能力の指導法もさることながら、その指導効果を計測する指標が定められていない現状があることは否めない。「国際共通語としての英語力向上のための5つの提言と具体的施策」(文部科学省, 2011)において、各中・高等学校が学習指導要領 に基づき、求められる英語力を達成するための学習到達目標を「CAN-DO リスト」の形で具体的に設定する提言がなされた。 本研究では、反転授業(授業と宿題の役割を「反転」させる授業形態のこと)を用いる。通常は授業中に生徒へ講義を行い、知識を伝達し、授業外で既習内容の復習を行い、学んだ知識の定着を促す。これに対し、反転授業では自宅で講義ビデオなどのデジタル教材を使って学び、授業に先立って知識の習得を済ませる。そして教室では講義の代わりに、学んだ知識の確認やディスカッション、問題解決学習などの協同学習により、学んだ知識を「使うことで学ぶ」活動を行う。このような授業形態を導入することで、生徒の学習意欲を向上させて知識の定着を促し、落ちこぼれを防ぐなどの効果が期待されている。さらに、その評価基準のための効果的な「CAN-DO リスト」を構築する。それをもとに、スピーキングパフォーマンスの関係を調査し、自己評価を行うことの利点を探るとことを目的としている。全体のシステム設計は、研究代表者吉田が行い、教材作成・CAN-DO リスト構築は、吉田と共同研究者加賀田が行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以下の計画にて、研究を進めた。 前半は、資料収集、文献収集、打ち合わせなどにあてた。後半は、学会参加(国内外)、アンケート調査等を実施した。4-5月 全体の確認と実行打ち合わせ:6-7月 文献収集、研究動向の確認、中学研究大会参加:8-9月 情報整理、国内の大学訪問調査、資料収集:10-11月 データ入力、有識者会議、高校研究大会参加:12-1月 国内調査、学生対象のアンケート資料入力と分析:2-3月 1年目の研究のまとめ、学会発表申し込み、学会発表準備 ・研究計画遂行のための役割分担 研究代表者:吉田晴世は、ICTを活用した英語教育が主たる専門領域であり、これまでに、理論と実践に関する書籍を出版している(吉田他,2008,2014)。4技能におけるスピーキング指導の重要性と困難度についても研究を進め、現在注目されている反転授業を活用した授業の実践を行っている(Nishimura, 2014; Yoshida, 2015)。本研究を遂行するための全体統括者として本研究の潤滑な遂行を行った。共同研究者:加賀田哲也は、入門期における音声を中心としたカリキュラムの開発等に精通しており、スピーキングの重要性については、論文はもとより、ワークショップ・講演などで継続研究を行っている。到達指標CAN-DOリストに関しては、教育的意義・目的・具体的作成方法について、学内の学生・院生への指導のみならず、大阪府下の中学校等にて、効果的なCAN-DOリストの開発に取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
・スピーキング指導(共同研究者加賀田が責任分担):小学校外国語活動において音声を中心として学んできた中学生にとって、スピーキングに対する抵抗感は少ないと思われるが、文法事項や新出語彙が導入された状況で、正確さ(accuracy)・流暢さ(fluency)を意識させた指導が必要となる。そこでは、現在普及が進んでいるICTを活用した授業形態と、教師と生徒の双方向で、客観的に習熟度を計測する到達指標を求める。 ・「反転授業(Flipped Classroom)」(研究代表者吉田が担当):授業形態は、講義内容を録画して授業前に学生に視聴させ、授業内では講義内容に基づいて、応用学習や問題解決型学習を実践する一連の形態のことを指す(Bergmann, & Sams, 2012)。外国語教育における反転授業研究・実践は途上であり、特にスピーキングに関しての反転授業研究の成果は乏しいので、研究を進める。 ・「CAN-DOリスト」(吉田・加賀田と共同で行う):指導や評価のために必要なものは何かというと、到達目標の設定である。そして、設定目標に照らし合わせて生徒の進歩を見ていくことである。これは偏差値という集団に準拠した基準ではなく、目標に準拠した評価、何ができるかを基準としたものである。また、このためには、大きな評価枠組みを持つCAN-DOリストの開発であると考える。文部科学省によるCAN-DOリストの早急な作成が求められており、現在、多くの研究者・授業者が、目標設計と、それが到達されているかを判断する指標作りに取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画よりも進展があったため、平成31年度に国内海外での発表をおこなうため、前倒し支払請求することとしたい。平成31年度に実施予定であった、海外での発表を国内の発表のみに限る予定である。教材作成及び実践効果の検証を進めていくことにより、研究目的の達成を目指す。 変更後は、31年度:各科目群、各科目の具現化:4-5月:2年目の研究計画の確認と実行打ち合わせ・6-7月:学会発表(JACET関東支部)、科目のあり方検討、高校研究大会参加、授業撮影と分析・8-9月:論文作成、・10-11月:中学研究大会参加、授業撮影と分析、視察結果分析・12-1月:授業観察のまとめ、教材作成・2-3月:2年目の研究のまとめ、教材作成。 平成32年度:妥当性の検証、効果の検証、ハンドブック作成:4-5月:3年目の研究計画の確認と実行打ち合わせ・6-7月:有識者会議、授業内活動の検討、ハンドブック完成、学生の視点調査・8-9月:学会発表(JASET)・10-11月:公開シンポジウム 、有識者会議、教員の視点調査・12-1月:学会発表準備、論文作成、ハンドブック試作と修正・2-3月:国際学会発表(RELC )、公開セミナーをおこなうことで、研究を遂行する。
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