研究課題/領域番号 |
18K00878
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研究機関 | 文教大学 |
研究代表者 |
小嶋 英夫 文教大学, 教育学部, 教授 (30310981)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語教育 / 教育改革 / 実践共同体 / 組織的教育力 / Exploratory Practice / Transformative Learning / Learner Autonomy / Teacher Autonomy |
研究実績の概要 |
研究実績の概要として、第1に、大学英語教育学会(JACET)の第59回国際大会で、代表を務める自律学習研究会がシンポジウムを企画し、大会テーマと連動させて「英語教育における自律的成長とウェルビーイング」のテーマで共同発表を行うことが決まっていた。残念ながらコロナ感染の拡大のために大会自体は中止となったが、個人研究として「教育におけるウェルビーイング」のテーマで論文をまとめジャーナルに発表した。さらに、オンラインで実施されることになっている次年度のJACET国際大会や関東支部大会に向けて、シンポジウムや共同研究発表を申請し受諾されている。第2に、本研究者が研究の一環として継続的に実施してきた英国ウオーリック大学応用言語学センター短期研修プログラムは、ウオーリック大学とオンラインを通してオリエンテーションなどを実施したものの、実際の研修はコロナ禍の中で中止とならざるを得なかった。コロナ感染のパンデミック宣言発令直前の2020年春休み中に実施した研修に関しては、参加した学生たちを対象に、変容的学習(Transformative Learning)の視点から、自律的・協働的に変容的コンピテンシーを高め専門的成長を育む姿を研究論文にまとめ発表した。第3に、2020年度は本研究者が関わる全ての学会活動形態がオンラインになり対面での開催がなくなった。これを機に、変わる世界の教育の影響を受けながら、英語教育を含めた日本の教育が改革期にあることを意識して、科研テーマの拡張を図るために多様な教育研究会に参加し、教育機関の組織的取り組みの成果発表や協議会を通して、次世代の教育に関する新たな学びを深めることができた。例えば、学校におけるキャリア教育、SDGsを意識した大学教育学部のESDプロジェクト、SSH指定校の人材育成、OECDのEducation 2030や国際バカロレアなどから、日本の教育の未来を拓く大事な示唆を得て研究への新たな視座を見い出すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第1に、昨年度に国際的なレベルにおける教育の新たな変化を理解したことにより、本年度は日本の小・中・高・大を訪問し、教育改革につながる教育機関での組織的プロジェクトを直接的に調査研究することができた。新学習指導要領が育成を目指す資質・能力、時代を生きる人々に期待される21世紀型のコンピテンシー、OECDのEducation 2030が唱える変容的コンピテンシーなどについて、現場教育とリンクさせながら探究することができた。第2に、コロナ禍の中で所属学会主催の国際大会や研究大会がオンライン化される現状において、個人研究や共同研究による研究成果の発表に主催者側も参加者も徐々に慣れ、本研究者もオンラインでのシンポジウムや共同発表を具体的に企画し準備を進めることができている。第3に、勤務先の大学における学生指導の一環として、教育実習での学校訪問(埼玉・千葉・東京)を通して、チーム学校としての教育活動に関する管理職教員との情報・意見交換ができたことに加え、市教育委員会主催の現職教員研修会で講師を務め、教育改革の理念、求められる資質・能力の育成、「主体的・対話的で深い学び」の理論と実践、学習者と教師の自律的成長などについて説き、教員集団の学びを支援することができた。コロナ禍において積み重ねたこのような経験が、最終年度となる次年度の研究活動に資すると考える。
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今後の研究の推進方策 |
第1に、コロナ禍が続く中で科研の最終年度を迎えるが、日本における英語教育の新たな方向性及び教育組織の効果的なあり方を熟考し、時代が求める人材育成につながる教育、関係者が共同生成的に成長する教育を念頭において、本科研のテーマをより深化・発展させることを考える。第2に、所属の学会活動を継続しながら、オンライン開催がすでに決まっている各種研究大会にできるだけ参加し、自らの実践研究の成果の発表・協議を通して国内外の研究者と情報・意見交換を図りながら、多様なフィードバックを生かして研究の質を高める。第3に、世界的なコロナ感染の影響下で、英語教員志望生にとって貴重な海外研修プログラムの実施が全国的に困難を極める現状において、ウオーリック大学応用言語学センターとの連携を密にしながらプログラム内容の改善を図るとともに、これまで継続的に行ってきた研修プログラム研究に基づき今後の研修について協議し、英語教員養成教育の充実に資するように努める。第4に、研究最終年度としてこれまでの研究活動全体を省察し、研究内容のさらなる充実を図るとともに成果の発表の機会を配慮する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は以下の2点である。1点目は、深刻さを増すコロナ禍の中で、連携大学であるウオーリック大学訪問を含む海外出張が不可となり、しかも出張先が国内の限られた地域に狭められたこと、そして2点目は、参加予定であった学会行事が中止もしくはオンライン開催になり、会場での対面参加が可能なイベントが減少したことによるものである。残額の約32万円は、今後のコロナ禍の状況変化を考慮しながら、各種研究会参加などに要する経費として支出することが見込まれる。
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