科研最終年度は、研究テーマに基づきこれまで行ってきた内容を総括するとともに、世界の教育の動向と連動して日本でも教育改革が進む中で、時代の求める教育との整合性を考えながら、英語教育の垣根を越えてより学際的な視点から研究活動を継続した。また、コロナ禍の中で学会・研究会への参加形態がオンライン化という制限を受けながらも、研究成果の発表の機会を得るように意識的に心がけた。大学英語教育学会 (JACET) 関東支部大会では、代表を務める自律学習研究会企画としてシンポジウムを行い、コロナ禍での学生たちの自律的・協働的学び、海外研修における英語教員志望生の変容的成長などについて話題提供を行い、予想を超える多くの参加者を集めることができた。続くJACET国際大会では、自律学習研究会のこれまでの活動を踏まえて、今後の研究の方向性について共同発表を行い、こちらも大変盛況であった。その後の秋の自律学習研究会では、新入会員を迎えて参加者全体に向けた講演を依頼され、「実践共同体としての自律学習研究会」について語った。さらに、毎年参加している日本教師教育学会では、「教育機関における教員間の協働」をテーマとする分科会で、最初の発表者として「教育における実践共同体の探究」の意義を説き、後続の発表と協議会へとつなぐ役割を担った。本研究者が指導講師を務めた教員免許状更新講習や教育委員会主催の現職英語教員研修では、教員の専門性を高めるために、「最新の英語教育の理論と実践」について対面で協議することで、参加者の専門的意識の昂揚を図った。科研テーマに含まれるExploratory Practiceの研究や組織的教育力の向上の一環として、コンピテンシーに基づく教育、実践共同体、専門職の学習共同体についても発展的に研究し、今後の継続的研究への示唆を得ることができた。
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