研究課題/領域番号 |
18K00891
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
茂木 良治 南山大学, 外国語学部, 教授 (40507985)
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研究分担者 |
武井 由紀 名古屋外国語大学, 外国語学部, 准教授 (80620533)
野澤 督 大東文化大学, 外国語学部, 講師 (50773438)
古石 篤子 慶應義塾大学, 総合政策学部(藤沢), 名誉教授 (20186589)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | フランス語教育 / 異文化間能力 / 評価ルーブリック / 複言語・複文化能力 / 外国語教授法 |
研究実績の概要 |
本研究は、異文化間能力の育成をフランス語運用能力の向上とともにフランス語教育の重要な目的と位置付けたフランス語教授法の開発とその効果検証を目的とする。特に、複数の外国語を学ぶ日本人学習者が異文化間能力の育成を目指したフランス語教育を通して、どのように異文化に気づき、そして、彼らの異文化間能力がどのように成長するかを検証する。 二年目は、初年度に行った文献調査の結果を踏まえ、学習者自身が母語話者向けの資料(Documents authentiques)などの分析を通して文化的相違などに気づき、その点について省察し、クラスメートと議論し、文化的な気づきを深化させるという指導法を、日本におけるフランス語教育という文脈にいかに適応させるか検討した。 その結果、日本の高校や大学でフランス語を学ぶ学習者のほとんどがヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)A1~A2レベルの学習者であるため、異文化間能力を育成しながら、基礎的な語彙・文法などの言語項目の指導と、フランス語運用能力を向上させるコミュニケーション活動を融合させる教授モデルを構築するに至った。 これらの教授モデルを実際に中等教育の現場において、実施し、効果検証を行った。授業実践後にアンケート調査より、異文化への興味・関心だけではなく、異文化理解を通して自文化をより一層意識するようになったという結果が得られた。また、語彙・文法などの知識の定着に関しても、学習効果があることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
異文化間能力の育成を目指した外国語教育の教授モデルの構築とその教育実践への適応については一定の成果を得ることはできた。また、初年度は調査が及ばず、遅れていたヨーロッパにおける異文化間能力の評価方法に関して調査した。先行研究では、主に自己省察により異文化への気づきを促し、自己評価をおこなうことが推奨されていることはわかった。しかしながら、異文化間能力の評価方法を日本の外国語教育の実践の中にどのように組み込むか、そして、どのような方式で行うかなどの課題について検討するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
異文化間能力の育成を目指す教授モデルに基づいた授業実践を引き続き実施し、効果検証を行う。課題となっている評価方法について検討し、授業実践の中で育成を試みた異文化間能力がどのように成長するかなど、自己省察を促す振りかえりシートや自己評価のためのルーブリックなどの開発を行い、その結果について質的手法で分析を試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ分析用に当該年度に購入する予定だったノートPCの購入を次年度にまわすことにした。旅費に関しては、想定していたよりも会議開催の回数が少なかったため、予定よりも予算を下回った。次年度は引き続き教授モデルの効果検証を行うため、研究授業視察のための旅費などを多く計上する予定である。また、書籍等も改めて購入予定である。
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