研究課題/領域番号 |
18K00893
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
清水 裕子 立命館大学, 食マネジメント学部, 教授 (60216108)
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研究分担者 |
大和田 和治 立命館大学, 食マネジメント学部, 教授 (00288036)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スピーキングテスト / 妥当性検証 / 外部テストの活用 / classroom assessment |
研究実績の概要 |
大学の英語プログラムにおけるスピーキングテストの導入を例として、実際のカリキュラムの進行の中でテストの妥当性の検証を行うことを目的に、今年度は、4月と12月に4種類の英語テストを実施するとともに、スピーキングテストの実施直後に、受験経験に関する意識調査を行い、特に表面的妥当性の観点から分析を開始した。 今年度は、研究の第1段階として、対象となる学習者の英語力を把握するために、英語力全般およびスピーキング力を測定する外部テスト(CASECおよびVersant Speaking Test)に加えて、基本文法テストおよび語彙サイズテストを作成し実施した。また、スピーキングテスト実施直後の意識調査用の質問紙を作成・実施し、量的分析を試みながら質問項目の微調整を行い、次年度の準備を進めた。 当初予定していなかった文法項目および語彙テストのアイテム・バンクの構築を行い、それをもとにしたテストを実施し、文法項目については項目分析を行い、テスト項目の絞り込みを行った。なお、カリキュラムと連動したタスクをもとに、教室環境で実施可能なスピーキングテストのためのアイテム・バンクの構築については、発話データの分析手法の検討を行ってきたが、次年度に、新規に研究分担者として英語母語話者に加わってもらい、発話データの収集と書き起こしおよびCAF(Complexity, Accuracy, and Fluency)を中心とした具体的な分析を開始することとした。 データを十分に蓄積した上で分析を行い、学会等で発表する予定であったが、アジアの教育関係者を中心とした学会が開催されたため(於・東京)、2018年度中に研究の一部の発表を行い、さらに本年度の分析結果をもとに、2019年度には大学英語教育関係の国際学会で、予備調査を中心として研究成果を発表することが決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各種英語テストの実施および質問紙調査については順調に進んでいるが、教室レベルで実施するテストの開発については、学習者の基礎的英語力の把握の観点から、当初、予定していなかた文法テストおよび語彙サイズテストの作成・実施を行い、アイテム・バンクの構築に至った。ただし、スピーキングテストの開発については、その予備調査としての発話データの書き起こしと分析の際に、英語母語話者の協力の必要性があったことから、2年次以降に集中してデータ収集を行うこととした。 本英語プログラムにおける科目間の有機的なつながりの重要性から、CALL の授業とプレゼンテーションの授業との連携が図れるよう、スピーキングの流暢さ(fluency)に関わるリズム・イントネーションの指導案を作成した。また、スピーキングテスト開発の前段階としての基礎研究として、英語力の変化をみるために、当該学生の英語力に見合った流暢さを調べるためのタスクを種々の文献を参考に作成した。これらの情報をもとに、次年度以降の本格的な開発作業に備える準備を整えた。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階で予備調査を行い、その結果をもとに、今後は研究の第2段階としてデータ収集と分析を中心に研究を進めながら、教室レベルで実施できるスピーキングテストやタスクの開発とその妥当性を検証していく。 第1段階で検討したテスト(2種の外部テストおよび作成した文法および語彙テスト)ならびに作成した質問紙は、2019年度以降も継続して実施する(4月および12月を予定)が、それに加えて、我々が実際に指導に当たっている授業の内、音声での産出活動を中心とした科目間での連携を図りながら、発話データの分析を中心に、教室レベルでの指導と学習効果およびその検証方法の妥当性を検証していく。 発話データについては、7月に抽出サンプルを対象にデータを収集し、書き起こし作業を行いながら、具体的な分析を開始する。研究の遂行上、英語での発話データの書き起こしについては、当初、大学院生に謝金を払って作業依頼を予定していたが、英語母語話者による点検や適切さの判断を要することから、2019年度からは研究分担者として1名の英語母語話者を追加し、積極的に分析作業に加わってもらう。カリキュラム内での外部テストのあり方についての提言に加え、応答プロセスの検証と質問紙調査の結果から学習者の学びに対する意識と測定具の適合性を分析しながら、本研究の対象となった英語プログラムの継続的な調整と改善を行い、さらに、スピーキングテスト導入の成果を検証し、課題を明らかにする。 なお、第3段階では、国内外の学会での積極的な発表を行い、様々な研究者からフィードバックをもらい、最終のまとめへとつなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
以下の3つの理由で、当該年度での執行を延期した。 ①物品費の内、清水が購入を予定していた統計ソフトについては、最新版が販売される時期を待つことにしたため。②質的調査のためのインタビューについては、予定よりも規模を縮小し予備調査として実施したため、謝金の支出が少なくなったが、その理由として、英語タスクの実施とその発話の書き起こし作業に重点を置くための経費を次年度以降に執行することにしたため。③抽出した学習集団(45名前後)を対象に、学習終了時の事後テストとしてのスピーキングテストの実施を2年次に行うことにしたため。
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