研究課題/領域番号 |
18K00894
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
根本 浩行 立命館大学, 文学部, 教授 (40452099)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 言語横断的視座 / アイデンティティ / リテラシー |
研究実績の概要 |
英語圏の大学で一年間の交換留学を終え日本の大学に復学した学生を対象に、就職活動における言語横断的リテラシーの適用と言語横断的アイデンティティ変容に関する調査を行った。その一方で、社会適応と言語横断的能力の関連性を探究するため、2018年度と2019年度に本研究に参加した学生を対象に就職後の追跡調査を実施し、インタビュー、記述式アンケート、ダイアリー調査などを用いて質的データを収集した。これらのデータを昨年度までのデータと照合し、社会文化的視座からリテラシーとアイデンティティ発達の縦断的分析を進め、ヨーロッパの研究者たちとの共編書の執筆にとりかかった。また、言語横断的リテラシーとアイデンティティが学術能力や自己形成をどのように促進するか、そしてグローバル社会における雇用適性を高める上でどのような効果をもたらすかを検証した。このように、グローバル社会の需要に対応したリテラシー実践とアイデンティティの再構築プロセスを縦断的に考察することで、社会文化理論に言語横断的視座を融合した新たな研究枠組みを作り上げ、その有用性を探究した。 さらに、言語管理理論に関する最新書籍の書評を執筆し、本研究に繋がる理論的知識を深めるとともに、認知過程と社会文化的過程の相乗効果に関する考察を進め、本研究の新たなデータ分析基準を作り出した。このような考察を通して多角的に研究枠組みを発展させるだけではなく、実際のデータに基づいて帰納的に理論の確認および発展を試みることで、言語横断研究の新たな洞察を得る足掛かりを掴んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で研究調査を実施する機会が制限されたため、データ収集を予定通り進めることができなかった。また、研究結果を複数の国際学会で発表する予定であったが、学会自体が中止、延期になり、他の研究者と公の場で意見交換する機会を得ることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
社会人となった研究対象者の追跡調査を継続するとともに、2020度に収集が不十分であったデータを補足するため、追加データを収集する。また、2020度から2021度に延期になった国際学会でこれまでの研究結果を発表することで、考察の妥当性を確認し、現在進行中の共編書の出版に向けて担当章の執筆および、各章の編集作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)コロナ禍により参加予定であった国際学会が中止、延期となり、予定していた海外出張費と学会参加費を執行できなかったため。また、今年度行う予定であった研究調査も十分には実施できず、当初予定していた研究調査費を次年度に繰り越すこととなったため。
(使用計画) 研究調査費用、国際学会の参加費、2021年度に新刊となる書籍の購入などに充当する。
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