本研究は、海外留学で研鑽を積んだ日本人学生を対象に留学前、留学中、留学後、卒業後の縦断的調査を実施し、言語や文化の境界線を越え母語、第二言語能力の相乗効果により形成される言語横断的リテラシーとアイデンティティの相互発達過程を考察した。その結果、言語横断的能力はその場だけに留まる一時的なものではなく、流動的資源となり場面や文化を越え経時的に変化しながらリテラシー発達とアイデンティティ変容を促進することが分かった。また、第三の視点や言語横断的な間主観性、他者に対する明瞭性の留意と評価、両価感情の調整などがこの相互発達過程を促し、グローバル社会における雇用適性を高める効果をもたらすことが判明した。
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