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2019 年度 実施状況報告書

第二言語習得研究に基づく効果的な多読プログラムモデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K00899
研究機関北海道武蔵女子短期大学

研究代表者

岩田 哲  北海道武蔵女子短期大学, その他部局等, 准教授 (30789706)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード英語多読 / 語彙サイズ / 偶発的語彙習得 / グレーデッドリーダーズ
研究実績の概要

語彙知識は読解力に不可欠であるが(Laufer, 1997)、多読は母語においてだけでなく、外国語学習においても偶発的な語彙習得につながると言われている(Krashen, 1989)。多読は一般的に非効率さが指摘されているが(Wesche & Paribakht, 1996)新しい語を覚えるというよりも、知っている語や覚えかけの語を記憶に定着させるのに向いていると言われている(Waring & Takaki, 2003)。多読は意図的な学習に比べ、目標語以外の語彙も習得している可能性があり、この点に焦点をあてた研究はこれまでほとんど見られない。以上のことから、グレーデッド・リーダーズを使った多読活動が、偶発的な語彙習得に与える影響を、活動前後の語彙サイズを測ることで検証した。参与者は非英語専攻の学生で、英語熟達度が高く、多読を行なわず、伝統的な訳読式授業を用いるグループ(A)と、(A)グループよりも英語熟達度は低いが、授業内外で多読を行い、アウトプットを重視する授業を行うグループの中で最終的に読んだ語数が5万語以上のグループ(B)と5万語以下のグループ(C)の3グループについて、指導の前後の4月と12月で、日本人学習者向けの語彙サイズテスト(Mizumoto, 2005)とアンケート調査を行い、多読の有無と読んだ語数によって偶発的語彙学習による語彙サイズの変化を比較した。テストの結果はSPSSを使用した共分散分析(ANCOVA)及び分散分析(ANOVA)を行った。結果は全てのグループが全体的語彙サイズは減少したが、1000語レベルでは(B)グループが有意な伸びを見せ、2000語レベルでは(C)グループが有意に語彙サイズを伸ばしたことから、高頻度語の定着における多読の有効性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

指導前後の試験(望月語彙サイズテスト)を予定通り行い、M-Reader システムを使い、読書語数の記録も予定通り行った。年度末のアメリカ応用言語学会(AAAL)はコロナウイルスの影響で中止となり、参加することはできなかったが、今年度はデータの収集を主としていたためほぼ予定通り進展した。

今後の研究の推進方策

第二言語習得研究においても個人差要因がますます注目されるようになってきている。教室で一斉指導を行っても、学習者の熟達度や学習スタイルなどには差があり、成果も異なるのが普通である。しかし、学校で行われる多読指導では目標語数や本までも指導者が決定することが多い。次期学習指導要領では自律した学習者の育成が重要視されており、またアクティブ・ラーニングの観点からも、本の選定は勿論、読む語数に関しても、学習者自身に決定権を持たせることは重要であると考えられる。そこで本研究では、多読指導において、学習者が自由に本を選択して、読んだ語数と英語学習や多読に対する動機付けとの関係を自己決定理論の観点から検証する。ただし、現時点ではコロナウイルスの影響でまだ研究はスタートしておらず、また、発表を申し込んでいたイギリス応用言語学会(BAAL)も中止が決定しており、予定通り研究が進むかは見通せない状況である。

次年度使用額が生じた理由

アメリカ応用言語学会(AAAL)がコロナウイルスの影響で中止となり、経費を使うことができなかったが、コロナウイルスの感染状況を見極め、次年度の国際学会参加費用などに充当し使用する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Self-Generated Elaboration versus Traditional List Learning in Foreign Language Vocabulary Retention2020

    • 著者名/発表者名
      Akira Iwata
    • 雑誌名

      HELES Journal

      巻: 19 ページ: 4-19

    • 査読あり
  • [雑誌論文] How Extensively Do We Need to Read to Improve EFL Reading Ability?: A Comparison of Two Different Instructional Methodologies2020

    • 著者名/発表者名
      Akira Iwata
    • 雑誌名

      The Reading Matrix: An International Online Journal

      巻: 20(1) ページ: 66-83

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Is Semantic Elaboration Better than the Traditional Method on Vocabulary Learning?2019

    • 著者名/発表者名
      Akira Iwata
    • 学会等名
      全国英語教育学会(JASELE)第45回弘前研究大会

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公開日: 2021-01-27  

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