研究課題/領域番号 |
18K00902
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研究機関 | 松江工業高等専門学校 |
研究代表者 |
服部 真弓 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 教授 (00300608)
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研究分担者 |
篠村 恭子 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 講師 (90806077)
廣瀬 誠 松江工業高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (40367660)
HIGA MARSHALL 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 准教授 (50736923)
早水 英美 (岸野英美) 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 准教授 (90512252)
宮下 眞也 松江工業高等専門学校, 人文科学科, 教授 (50259917)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 多読指導 / Moodle / オートノミー / 可視化 / 学び合い |
研究実績の概要 |
本研究は,多読学習に Moodle(以下,多読 Moodle)を活用して 「①学習者自身の多読 を通した学びの省察を実現させることで学習者オートノミー(autonomy)を育む」ことと 「②指導者に求められる指導者オートノミーの変容を観察する」ことを目的とする. 平成30年度は「『多読Moodle』の開発とその評価」を行った.情報工学科研究室がその開発にあたり,英語教員と情報工学科研究室で定期的ミーティングを開催し,その改良を重ねた.英語教員は「多読Moodle」コンテンツ(内容理解Q&A)も並行して作成した.試作した「多読Moodle」を導入してWeb上でのLMS(Learning Management System)を実現させた. 「多読Moodle」の拠点を,学生が既に慣れ親しんでいる「松江高専WBT(Web Based Training: https ://wbt2018.matsue-ct.jp/)」に置いた.これまで「松江高専WBT」には学習履歴を効果的に可視化(見える化)する機能はほとんど存在しなかったが,「多読Moodle」では,記録された多読学習過程を「読破語数」と「1分間に何語読んだかを表すWords per minute(wpm)」のグラフで学びのプロセスを可視化した.本校3年生2クラス80名分の多読記録を載せた「多読Moodle」プロトタイプを準備して多読授業を試行し,学生から「多読Moodle」そのものについての評価を得た. 作成した「多読Moodle」が「学習者の自律的な多読学習や感想の交流などを促進したか」,また,「指導者の多読指導の在り方に変容があったか」を検証するため,平成30年度初め,「多読学習・多読指導についての意識調査」を作成し,学生・教員それぞれに実施した(「『多読Moodle』を活用した多読学習・授業の検証」).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英語教員と情報工学科研究室で定期的ミー ティングを開催し,情報工学科研究室が開発した「多読Moodle」の改良を重ねた.平成23年度から実施している多読授業において,多読前・中・後に十分な指導が出来ていない一因は紙媒体での「多読記録ファイル」にあると考えたからである.「多読記録ファイル」が抱えてきたであろう「(学生側の)授業内外の継続的な読書につながらない現状」と「(指導者側の)データ集計等の煩雑さから効果的なフィードバック等ができない現状」は,「多読Moodle」によってそれぞれ次のように改善されると期待している. <学生側> ①読了語数・wpmのグラフ等で学びのプロセスが可視化されるので,心理学における自己確認,自己拡大につながり自己満足へと昇華するため継続的な学習に繋がる.②「多読Moodle」の拠点は「松江高専WBT」に置かれているので,いつでも自身の多読記録を省察できるので,自主的・自立的な学習に繋がる.③書籍ごとにまとめられたコメントを見ることで,指導者との一対一の交流に留まらず,他学習者との感想の交流・学び合いに繋がる.④多読記録のしやすさ(タイトル自動補完機能,本の情報・総語数等の自動表示)が記録の煩雑さを払拭する.⑤ランキング表示(オススメ本・読後の気分・コメント数)が選書の参考になる. <教員側> ①学習者の読書状況(本・総語数・wpm・コメント)を一目で把握できるので,分析・フィードバックを効率的にでき,また多読が進まない学生の把握も容易になる.②コメント入力が短時間で効率的にできるので,学習者との感想の交流が促進される.③書籍ごとにまとめられたコメント,ランキング表示が学生への選書指導のサポートなる.
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度は1年生~3年生全15クラスにおいて,「多読Moodle」を活用した多読授業を実践する.平成31年度初め(「多読Moodle」を活用した授業実践前),平成32年度初め(「多読Moodle」を活用した授業実践1年経過後)に,平成30年度初めに引き続いて,「多読学習・多読指導についての意識調査」を学生・指導者に実施し,「『多読Moodle』を活用した多読学習・授業の検証」を行う.1年生は多読授業のスタートから「多読Moodle」を活用することになるが,2年生,3年生,及び指導者は「多読記録ファイル」での多読授業を経験してきているので,「多読Moodle」が「多読記録ファイル」よりも「学習者の自律的な多読学習や感想の交流などを促進したか」,「指導者の多読指導の在り方に変容があったか」を検証する被験者となる. 平成31年度前期授業終わりに,学生から「多読Moodle」そのものについての評価も得る.
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次年度使用額が生じた理由 |
多読Moodle完成が当初の予定よりやや遅れたため、年度内の中間発表を行うことができなかったため。
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