本研究の目的は、16・17世紀のイエズス会の日本布教において、これまでその存在がほとんど語られてこなかった日本人の宣教者の実情を明らかにすることであった。ここでは、日本人修道士に加え、正式にはイエズス会員としては認可されていなかったセミナリオの学生、修道士(イルマン)見習い、或いは修道施設内部の「高度な雑役」の担い手である「同宿」を研究対象とした。具体的には、本邦においては未刊の欧文史料(主にローマイエズス会文書館所蔵史料)の収集・分析を中心に、これまでヨーロッパ人宣教師を主体に語られてきた、従来の日本のキリスト教布教史に、全く異なる見方を導入することを試みた。
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